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「隠岐諸島」旅 その16(西ノ島) 通天橋と鬼舞展望所で、絶景に言葉を失う

2016年の隠岐の旅、第十六回です。強風による船の欠航で思いがけず西ノ島での自由な一日ができ、絶景めぐりを続けます。午前中は由良比女神社、摩天崖を訪れ、午後は通天橋へ。


通天橋のダイナミックな景観

午前中の摩天崖から遊歩道で通天橋まで降りられるのですが、風が強かったので通天橋のそばまで車で出られる道で向かいます。

駐車場からの緩やかな下り坂からは、すでに国賀海岸の奇岩が見えます。

左の大きな岩は「象鼻岩」、その隣の細く突き立った岩は「観音岩」、少し離れた右に大小並んでいるものは「蛙岩」。そのさらに右側、丘の向こうにお目当ての通天橋があるはずです。

海岸まで降りると、波が絶え間なく打ち寄せて、岸近くの海面は白く泡立っています。

通天橋はそんな波に何千年と洗われてできた海食洞。

真っ青な空と海、寄せる白波とでよりダイナミックな景観を作っています。

ここに来るまでに見た奇岩も、千年前には通天橋のようなアーチを形作っていたのかもしれません。

通天橋でしばし陶然としたのち、南に移動し、今度は赤尾展望台へ。昨日は天気が悪くしっかり見なかったのですが、天気いいと国賀海岸の様子が一望できます。ここは、夕日のスポットでもあるみたいですね。


鬼舞展望台の牧畑と間垣

「国賀海岸をそれなりに見て回ったけど、地図に描かれてるこの鬼舞ってところ、やたらと気になる」

国賀海岸の景勝地は地図に詳細な説明が書かれていますが、島の南西に位置する鬼舞という場所については、ちょっとしたことが記されているだけ。逆に気になります。まだ日は高いので向かってみることに。

赤ノ江の集落から坂道を登り、島前カルデラの稜線上に出ます。左に丘、右は海が見える視界の開けた道を走ると、やがて少しずつ狭くなっていきます。

15分ほど走り馬や牛の移動を制限するテキサスゲートが道を横切っているところを越えると、鬼舞展望所の駐車場です。与那国島でも見たテキサスゲートは、この先に馬や牛がいることを示しています。

車を降り、行く手に見える小高い丘を目指しますが、左右が斜面になった開けた道で、右手から今日一番とも言える強い風が吹き寄せています。道の両脇には馬避けなのか有刺鉄線が。気を抜くと真っ直ぐに立っていられない中、ちょっとしたトラップ感があります。気をつけないと有刺鉄線まで転がされて血だるまに・・・。

駐車場のそばには、放牧している馬の厩舎と、かつて隠岐の島々で行われていた「牧畑と間垣(まきはたとあいがき)」の説明看板があります。

牧畑は放牧と畑作を四年で輪作するという世界的にも珍しい農法で、隠岐諸島独自のものだそう。1960年代までは各島で行われていたようです。石垣で四つに区切られた畑で、それぞれ麦、大豆、小豆、粟などを1年ごとに栽培、四年目に牛を放牧して一巡する珍しい農法です。

これなら確かに輪作障害も起きないし、定期的に牛が入ることでフンを肥料にできます。今は島の外から安い作物が入ってくるようになって廃れたそうですが、牛や馬を今でも島のあちこちで見かけるのはこの農法の名残なのでしょう。


知夫里島を望む鬼舞の絶景

看板の説明に納得しながら牧草に覆われた丘を登っていくと、果たしてこの旅一番とも言える絶景が待っていました。

丘の天辺からは今日行くはずだった知夫里島をバックに、多くの馬が草を食んでいる光景が目に飛び込んできました。

摩天崖でも馬はいましたが、ここまでの数は見当たりませんでした。子馬もいて実に可愛い。お母さんがせっせと草を食んでいるのですが、かまってくれなくて飽きて座り込んだりと、見ていて飽きません。

ここも島前カルデラを実感できるパノラマの風景が見られます。馬もそばまで寄っても特に気にする風もなく、絶景の中に被写体として存分に撮影させてもらいました。

「知夫里島に行けなかったのは残念だったけど、もし行ってたらこの風景は見られなかったな。結果オーライだ」

思わず独り言が出るくらい、素晴らしい景色です。かなりの時間をここで撮影していました。

まったく、島旅とは「禍福は糾える縄の如し」を地で行くものですね。(続きます)

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