「隠岐諸島」旅 その14(西ノ島) 竹並旅館に投宿し島の幸を堪能、翌日レンタカーを借りる
2016年の隠岐の旅、第十四回です。西ノ島に上陸するも天候が悪化。急遽切り替えた観光バスツアーの後、島を出るか残るかの選択をし、やはり島に残ることに。旅は続きます。
町営バスで別府港に戻る
観光バスは出発した別府港には戻らず浦郷港で終点だったので、町営バスを待って別府港へ戻ります。ちなみに、おそらく乗せたかったであろう定期観光船も結局浦郷港に戻ってくるので、どのみち別府港には町営バスで戻るしかない。宿が別府港のそばだからです。
やや腹立ちを覚えながら、やってきた町営バスに乗り、別府港へ。
そういえば、お昼も食べていないことを思い出したので、別府港の隠岐汽船の二階にある「風花」という食事処に入ります。
天気が悪いので他にあまりお客はおらず、カウンターに座ってホットケーキとコーヒーでようやく人心地。島旅を続けていると海鮮系の食事が続くので、たまにこういうのを食べるとホッとします。
が、ここの店員さん、注文したものを出す時も空いた皿を下げる時も、何も言わずにやります(笑) 出す時はいいとして、下げる時に突然横から無言で手が伸びてきて皿を取っていくのは驚くのでやめていただきたい。
そんなちょっとしたハプニングがありつつもお腹が満たされて落ち着いたし、雨も降ったりやんだり、風も強いのでさっさと宿に行くことに。
竹並旅館は古き良き雰囲気
宿は別府港から歩いて5分ほどのところにある「竹並旅館」さん。古き良き旅館の風情があります。(写真は翌日雨が上がってから撮影)
入ろうとしたら、入れ違いで観光バスで一緒だった同宿予定のご家族が出てきました。キャンセル料を払うために立ち寄ったようでした。
宿にチェックインし、早々に部屋でくつろぐことにしました。客はさっきの家族が帰ったことでどうやら僕一人。それはそれで気が楽です。外は雨脚が強くなって、いよいよ外出は難しい。
この旅館、今でこそ少しくたびれた感じがしますが、調度や部屋の作りから昔はそれなりに格式の高い旅館だったようです。ただ、この記事を書いている時に少し調べたところ、2019年2月をもって廃業されているようでした。残念。
内航船いそかぜもこの日の最終便が欠航、という島内放送が入ります。
「その前の便は出るみたいだな。とすると、急げば知夫里島に行けるかも・・・?」
ここではたと気が付きますが、宿にチェックインしたばかりだし、この嵐の中無理していっても楽しめない可能性大。おとなしくしていよう。旅は待ったほうがいいこともあるはずです。
外はどんどん風が強くなってきました。時折突風で宿が揺れるほどに。
派手さはないものの島のもので彩られた夕食
二日酔いからの西ノ島到着後ドタバタでややくたびれていたので、部屋でうとうとしているうちに気がつけば夕飯の時間。
一階の広間に行くと、やっぱり客は僕一人。テーブルに並んだのは、派手さはないですがここで穫れたであろう海の幸たち。
お刺身は、西日本では「ヒラス」と呼ばれるヒラマサ。こちらではカンパチより高級魚として扱われます。身が締まっていて美味しい。
大きい牡蠣、今日は蒸してありました。ぷりぷりで味が濃厚、いくらでも食べられそう。
ですが、一番の出色は、見た目地味な海藻の煮物。
「これ抜群に美味いんだけど、なんだろう・・・」
海藻はだいたいぱっと見ても分からないものばかりなので、女将さんにたずねてみます。
「それはジンバってこの辺では呼んでて、ホンダワラです」
あ、昨日海士町のあまんぼうでたっぷり見たやつだ。
ホンダワラは、神馬草(じんばそう)と呼ばれることもあり、頭をとって「ジンバ」と呼ばれてるっぽいですね。
それにしても歯ごたえと煮付けた味がとてもマッチしていて、ご飯にかけてがばっと口に放り込みたい。ニーナもそうですが、島に行くと知らない食材との出会いが楽しみのひとつであることを再確認。
食事は量もちょうどよく非常に満足でした。
「なんか寒そうだから」
実際ちょっと寒かったのですが、そんな僕を見て女将さんが半纏を貸してくれました。とてもありがたい。
部屋に戻っても特にやることがないのでだらだらとテレビを見ていましたが、やはり全国各地でこの春の嵐の影響が出ているようで、中継で流れた米子駅でも電車が動かず足止めを食ってる人が映っていました。やはり、急いで島を抜けなくてよかった。あの家族は無事帰れたのでしょうか。
嵐の一夜が明け
部屋で横になっていると、窓が飛んでいきそうな風の音。台風並みです。木造の古い宿だからか、時折吹く突風で建物が揺れるのでやや不安な一夜を過ごしました。
翌朝、依然として風は強いですが空は晴れていました。島内放送で、隠岐汽船のフェリーと高速船は全便欠航のお知らせ。島前エリアを行き来する内航船も午前中は欠航。ただし天候が回復すれば午後の便は出る、とのこと。
早々に、今日の知夫里島行きは断念し、朝食時に宿の女将さんに延泊を申し出ます。
「素泊まりでよければ・・・」何でも延泊分の夕食は用意できない、と言われました。
え、昨日キャンセルした家族分の食材あるのでは? と思いましたが、たぶん今日はそもそも宿泊客がおらず、夜になにか予定でも入ってるのでしょう。離島の宿あるあるなので、追求はせず素泊まりで延泊。食事処がそれなりにある島なので、大丈夫でしょう。
外に出てみると体が持っていかれそうな風。自転車での島内散策はまったくもって無理。旅程計画時ではこの期間の西ノ島のレンタカーは全部埋まっていて諦めていたのですが、この強風で昨日の家族のように帰った人がいて空きが出ているかもしれない。
島にある二軒のレンタカー屋に電話してみると、一軒はやはり全部埋まっていました。もう一軒は「うーん・・・」と電話口でしばらく悩んだあと、「確認します」とのことで連絡待ち。島の宿を予約する時も時折ありますが、このしばらく悩むの、なんでしょうね。人を見ているとか?
しばらくして折返しの連絡があり、軽自動車ではなく普通車なら空きが出たとのことで、無事レンタカーを借りられることになりました。これで強風でもとりあえず島のあちこちに自由に行けるようになりました!(続きます)
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