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「隠岐諸島」旅 その8(海士町) 明屋海岸と金光寺山へ行き、かたえ荘さんで帰省気分を味わう

2016年の隠岐の旅、第八回です。宇受賀命神社に心奪われ、そばにいた年配の方々のお茶に混ぜていただいたら、「先生」と呼ばれる方にあちこち案内してもらえることになりました。


隠岐牛の牛舎と堆肥舎で島のエコシステムを知る

宇受賀の海岸で三郎岩を見せてもらった後は、島の北西の豊田地区へ。

道の脇にある大きな平屋の建物群は、隠岐牛の牛舎や堆肥舎でした。

堆肥舎には牛糞と刈り取られた草や木が混ぜられ、今まさに堆肥になっていく過程が分かります。こうしたエコシステムがちゃんとこの規模で島で回ってるのはちょっとすごい。

さっきの休憩所のみなさんの田んぼを手伝ってくれるシステムもうなりましたが、こういうサイクルがすでに島の中に確立されているのは、感動的ですらあります。

これらの堆肥は田んぼや畑に撒かれて、よい作物を育てるのに役に立っているのでしょう。

先生に付いて牛舎の裏の山にいくと、斜面に隠岐牛が放牧されているのが見えます。結構自由な感じですね。こういう環境で育ってるならきっと美味しいんだろうなあ。明日は食べられないかなあ。


明屋海岸と金光寺山へ

島の北東部にある明屋海岸は、その昔ここが火山そのものだった時代に噴火した時の名残である赤崖と、エメラルドグリーンの海のコントラストを見せてもらいました。確かに火口っぽい入り江ですね。

明屋海岸の次は、手にしている地図には載っていない「奈伎良比売神社(なぎらひめじんじゃ)」に連れて行ってもらいました。

ここも、なんだか雰囲気がいい。さっとお参りする程度だったので、また明日来ようと思いました。しかしその夜Googleマップで調べてみるとなかなか出てこなくて、場所を思い出すのに苦労したのはいい思い出。地理院地図のアプリでようやく見つけられました。その後、観光協会の地図にも小さく載っているのを見つけましたが、さりげなさすぎてもったいない!

奈伎良比売神社から山の方に登り、最後は金光寺山へ。日がだいぶ傾いてきました。

とここで、うっかりミスでなんとカメラを落としてしまい、レンズフィルターがレンズに食い込んでしまい取れなくなるというアクシデントが。フィルター自体もひび割れてしまっているので、このレンズでは撮影できなさそう。標準ズームで一番利用頻度高いのに・・・。旅もまだ前半だというのに心がちょっと折れかけました。

先生が色々金光寺山についてお話ししてくれていましたが、僕の心はレンズの破損に気もそぞろ。さすがにそのそぶりは見せず、別に持ってきていた広角レンズに付け替えて、金光寺山からの眺めを撮ります。集落にちょっと寄りたかったけど、広角ズームしか手元にないのがつらい。

それでも、海士町の集落と海、お隣の西ノ島までが一望できるよい場所でした。海抜は148mと飛び抜けて高いわけではないですが、他に遮るものがないのでこの高さでもよく見えます。

展望台のそばには山の名前にもなっている金光寺。

平安時代初期に嵯峨天皇の逆鱗に触れこの島に流された歌人、小野篁(おののたかむら)が都への帰還を願って百日の間、この社に籠もったと言われています。ちなみにこの小野篁、小野小町の祖父に当たる人です。

「こうやって見てると気がつくかもしれないけど、海士町には松が全然ない。3、40年前の大雨の被害を修復するのに島の外から持ってきた木材からマツクイムシが広がって、あっという間に松はなくなった」

さらっと衝撃的なことも教えてくれました。

そんな古代の浪漫が垣間見える隠岐の島々。小野篁や後鳥羽上皇も、この山からの景色を眺めたのかと思うと、少しだけ感慨深いものがあります。やっぱり来てみないとわからないものがありますね。

ここで、先生ことUさんとはお別れ。結構あちこち連れて行ってもらいました。海士町に着いてまだ半日、島の人の親切が身にしみます。


宿はおばあちゃんの家に帰ってきたかのよう

帰りに港の観光協会に寄って事情を説明、ペンチをお借りして割れたフィルターをレンズから外そうとしましたが、レンズのネジ山に食い込んでいてどうにも回りません。これ、無理だ。

諦めて本日の宿、かたえ荘に帰り夕飯です。僕以外にもう一組、2人のお客がいるようですが、夕飯を宿で食べるのは僕だけみたい。

1階の居間に夕飯が用意されていました。お刺身やメバルの煮付け、煮しめ、貝ときゅうりの酢の物、ハンバーグ、そして岩ガキ春香。

客は一人だけなのに豪勢な食事が出てきました。どうも宿はおばあちゃん一人で切り盛りしているようで、この品数を作るのは大変なんじゃないのかなあ。本当にありがたい。

魚が美味しいのはもちろん、煮しめが実にうまい。

一人で暮らしているとこういうものを食べる機会がないので、たまに食べると本当にしみじみします。岩ガキ春香はあっという間に胃に消えていきました。おかわり、できませんかね・・・?

窓の向こうはすぐ港。船が行き来する音が時折聞こえます。

隣の部屋からおばあちゃんが仏壇にお供えをして、チーンとりんを鳴らす音が聞こえます。

「ばあちゃんちに帰ってきたみたいだ」

僕の祖父母はもういませんが、帰省してきたような錯覚すら覚えます。

夕食後は、キンニャモニャセンターで買ってきた島の銘菓「白浪」と、隠岐の日本酒「隠岐誉」で少し晩酌。結構甘めのお酒でした。

合わせるものがお菓子なのは失敗だったかもしれません。(続きます)

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