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「忽那諸島」旅 その9(中島) 柑橘農家集団「柑匠の集」のみなさんと飲む

夏の旅には出られそうです。肩はまだ本調子ではありませんが・・・。どうも、いづやん(@izuyan)です。

忽那諸島旅の第九回、夜の中島に繰り出します。


島で柑橘を作る方々との夜

晩御飯を宿で堪能した後は、知り合いのつてで旅の直前にご紹介いただいた中島の柑橘農家の方と飲む約束をしていました。

事前に電話で少しやり取りしただけで、いきなりどこの馬の骨とも知らない旅人に会ってくださるということで、いそいそと集合場所の飲み屋まで向かいます。

場所は先ほどフェリーが入港した港の目の前にあるオレンジ色のスナック的なお店。地元の人しか利用していないのが外からも分かる風情。

店名が書いていないこともあり、初見ではかなり入りづらい空気を醸し出しています。

意を決してドアを開けると中はやはりいわゆるスナックです。7席ほどのカウンターとテーブル席がいくつか。

目的の方々はすでにカウンターで酒を傾けていました。

この夜会ってくださったのは、柑橘農家集団「柑匠の集」(たくみのしゅう)の忽那社長と俊成さん、石原さんの三人。

テーブル席に移動して軽く自己紹介をし、今日会ってくださったお礼を言います。

「実は今日明日は1年で一番忙しい時期でね(笑)」と忽那さん。

忽那諸島の島をいくつか見てきてもしやと思っていましたが、今は伊予柑の収穫と出荷の最盛期だそう。それを聞いてちょっと青ざめます。

「そ、それはすみません! 忙しい時期とは知らず・・・」

と冷や汗をかきながら平謝り。

でも三人は気にする風でもなく、飲みながら島の生活や柑橘について教えてくれました。

「柑匠の集」は育てた柑橘を自分たちで値付けをして、都市部に出荷している集団で、代表である忽那さんだけは農協にも所属せずに柑橘農家を続けていること。

(柑匠の集ウェブサイト/左奥が忽那さん、右奥が俊成さん)

「柑匠の集」のサイトは、松山市が主催したサイト構築セミナーに参加し自分でやってみようと思ったもののうまく行かず、その時の講師の竹森さんという方に制作をお願いしたのだそう。

ちなみに今回のご縁は、竹森さんと一緒にお仕事をされている方と僕が繋がって、そこから「忽那諸島に行くなら柑橘農家さんを紹介しますよ」というお話に発展したのでした。

竹森さんもご実家が農家をされているとのことでサイトを作る際に色々理解が早くてよかった、と忽那さんはおっしゃってました。

話しを聞いている僕はと言えば、サイト制作のことはよくわかりますが、肝心の柑橘のことはさっぱり。僕の中の愛媛の血統(両親は愛媛出身)が泣いているほどです。

「俺も最初はミカンの種類は全く見分けられませんでしたよ(笑)」と笑うのは、若手の石原さん。温州みかんぽいのでも品種は山ほどあるのでそれを見分けるのは難しい。


ブランドミカン「紅まどんな」は25年門外不出

そんななか、話はみなさんが作っている柑橘の話に。特に「紅まどんな」という品種の話が気になりました。

旅の直前に知った愛媛が誇るブランドミカン「紅まどんな」は、都内の百貨店にも卸しているそう。百貨店に並ぶと、1個500円、1000円することもあるのだとか。高級ミカンだ!

「紅まどんなは25年間、愛媛県以外では作れないことになってるんだよ」

「えっ、そうなんですか!?」

果物や野菜、樹木などの植物には新品種に対する「種苗法」という法律があり、新しい品種を開発し登録した場合にその植物を育成する権利(育成者権)を持つことができるそうです。

「紅まどんな」は愛媛県が登録した品種なので、愛媛県内でのみ栽培が認められている、ということになるのです。愛媛県が誇るブランドミカン、どれほどのものか食べてみたいものです。

時間がたつにつれてずいぶんと酒が進んでしまい、お聞きした話の大半を忘れるというどうしようもない体たらくでしたが、とても楽しかったのだけは覚えています。

「せっかく島に来てくれたし本当なら明日一日ついて回ってあげるんだけど、日が悪かった。一番忙しい日なんだよ」と忽那さん。

そのお気持だけで十分です。それでも、明日もし朝時間があれば、桑名という集落にある船絵馬が立派な神社に連れて行ってあげる、とおっしゃってくださいました。


心意気を感じ、旅の後に買った「たまみ」

0時を回りそろそろお開き、となった際に、飲みの席で陽気に話かけてくれていた俊成さんが宿まで送ってくれると言うのでありがたくお願いしました。

月明かりに照らされた道を行きながら、島の生活や未来、柑橘農家という仕事にかける気持ちを語る俊成さん。その語る横顔が印象的で、「こんな方々が作るミカンは美味しいに違いない」と、島から帰ってきた翌月に俊成さんから直接ミカンを買わせていただきました。

そのミカン「たまみ」は、1〜2月にかけて収穫、販売している品種。皮をむいた瞬間から豊かな香りが漂い、瑞々しさたっぷりの果汁があふれて爽やかな甘さが素敵でした。

中島以外の市場にはあまり出回らない希少さもあるミカンで、僕ももちろんこの時初めて食べました。

中島は「この島で作れない柑橘はない」と言われるほど気候に恵まれているそうで、温州みかん、この時に島を彩っていた伊予柑を始め、カラマンダリン、紅まどんな、せとか、はれひめ、はるか、甘平などなど、数多くの柑橘が育てられているそうです。

島旅をすることでその島ごとの食材や料理に出会うことも少なくないですが、農産物にも島ならではのものがたくさんあり、それはその島に行かないとなかなか知ることができないものだ、と改めて思い知った、そんな夜でした。(続きます)

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