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「忽那諸島」旅 その4(睦月島) 昼食難民になるも、長屋門の威容に往時の繁栄を思う

肩の骨折、じわじわと治りつつあります。早く島に行きたいけど焦りは禁物。どうも、いづやん(@izuyan)です。

忽那諸島旅の第四回、睦月島を逍遥する様子をお届けします。


昼食難民問題

島の西側の山道を歩いていくと、集落に戻る道に出ました。ちょうど島の中央部を北から南に下る形になります。左右には柑橘の山が広がり開けた谷間、といえる場所。

天気は快晴で散歩も楽しいですが、島に着いてからずっと脳裏にあった予感が大きくなるのを感じていました。

「この島、お昼食べるところなさそう・・・」

そうです、集落のメインストリートっぽい港前の道を歩いても小さな商店が一軒ある程度で、食事ができるお店が見当たりませんでした。島の規模を考えると飲食店がなくてもおかしくない。

そんなことを考えながら道を歩いていると、島の人と思しき男性が歩いてくるのが見えました。食事のことも気になりますが、まずは一番気になっていたことを聞いてみます。

「すみません、そこらじゅうになっているこの大きい柑橘はなんて種類ですか?」

「これは伊予柑だよ。今が最盛期。で、そこのハウスにある小さいのが『せとか』。これは3月ごろ出荷」

なるほど、やっぱり伊予柑! それと「せとか」という品種のミカンは初めて聞きました。そしてこの旅では、さらに多くの聞いたことのない様々な柑橘の名前を聞くことになるのです。

一番の疑問が解けてほっとしてうっかり聞き忘れそうになったことも、通り過ぎようとする男性を捕まえて聞きます。

「あの・・・この島ってお昼食べるところありますかね」

「あーそれはないねえ(笑)」

やっぱりかー。予感的中です。

島でお昼を食べられない、いわゆる「昼食難民」ですが、僕にとってはわりといつものことなので特に動揺はしません。

ここ睦月島には、正確には一軒食べるところがあるのをあとで知ったのですが、それは「予約が必要」というお店でした。

そのお店「海遊亭」では1週間前に予約をすると「オコゼづくし料理」を堪能できるそうです。ただし、4〜11月末まで。知っていたとしても12月の今では結局食べられなかったみたいですね。次に来た時にぜひありつきたいものです。

港まで戻って船の待合所の前のベンチに座り、こんな事もあろうかと買ってきたパンとカロリーメイトでお昼です。

12月も半ばなので着込んできたのですが、一枚上を脱いでも快適な陽気。海を眺めながらの即席ランチでも気持ちが満たされていきます。

ううむ、初めての瀬戸内の島、いいぞ。


往時の島の繁栄を伝える長屋門

簡単な昼食を済ませたあとは、集落を午前中とは逆の方向、島の南東側を歩きます。

ミカンの出荷所でしょうか、ホワイトボードに何がどれくらい採れたのか的なことが書かれています。

近くを歩いていると、島のおばちゃんが伊予柑をカゴに分けているところに出会いました。

海岸の砂も美しい小さな浜辺を歩いたり、また集落の中に戻ったりを繰り返します。

ふと、海岸沿いに建つ多くの家が、立派な門構えをしていることに気が付きます。

どこかで読んだ「長屋門」だと気がつくのにそう時間はかかりませんでした。

「長屋門」とは、陣屋や武家屋敷の門の形式の一つで、その名の通り長屋の一部を門として開いているので、中に人が住んだり物を置いておくことができるものです。江戸時代に多く建てられました。

そんな立派な長屋門が、小さな島の通りに並んでいるのです。中には崩れて荒れ果てているものありますが、その大きさは往時の立派さを伝えるのに十分です。

なぜこんな豪奢なものが一つだけならともかくいくつもの家を飾っているのか......と思っていても、辺りを人が通らないので聞きようがありません。

帰ってから調べてみると、かつて睦月島は「伊予絣(かすり)」という織物の行商で全国各地へ赴き、相当な財を成したそうです。豪邸が立ち並び、長屋門でその入口を固めたのでしょう。今でもその名残が見られる、というわけです。

門から中が伺えるところは、その向こうに中庭があり母屋があるのがわかります。

今は静かな島にも賑やかな時代が確かにあった、と感じらる風景です。(続きます)

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