「忽那諸島」旅 その14(津和地島) 亀川旅館ご主人の案内で島を一周
島旅の醍醐味といえば、地元の方との語らいですね。どうも、いづやん(@izuyan)です。
忽那諸島旅の第十四回をお送りします。料理自慢で近隣の島からも食事を楽しみに訪れる人がいるという亀川旅館さんで島の幸を堪能して翌日。
宿のご主人の案内で島を一周
旅の三日目の朝、目が覚めると小雨が降っていました。朝食を済ませ、チェックアウト時間までどうするか、カメラをぶら下げて玄関から外を眺めていたら、宿のご主人が「車で島を一周しましょうか」と言ってくれました。
ありがたくご厚意に甘えることにして、宿の軽トラックに乗り込みます。
島を一周する道路を反時計回りで回ります。港前の集落を抜けると、道はすぐに登りの山道に。
前回の記事に書いたなぜ一人客の時でも新鮮な海の幸を出せるのかや、漁師としてのこだわりなども、この道すがら教えてもらったものでした。他にも島にまつわる話を色々と聞かせてくれました。
「島では最近柑橘の他に玉ねぎも作ってるんですけど、イノシシが食べてしまって困ってるんですよ」
山の斜面の段々畑に植えられたたまねぎを見ながら、ここでもイノシシ被害の話が出てきました。
「20年くらい前に島にイノシシが二頭泳いで渡ってきたのがいて、島外の猟師に駆除を依頼したんです。島の人も協力して海岸まで追い詰めて、いざ、という時に、猟銃に弾が入っていなくて逃してしまった」
漫画かと思うような土壇場での手痛いミス! しかし現実なので笑い話どころではありません。
「あの時の二頭を仕留められていたら、もしかしたらこんなに島にイノシシは増えていなかったかもと思うと悔しいですね。その猟師にはイノシシを見つける四日間ほど、タダで飲み食いさせてましたし。踏んだり蹴ったりです」
イノシシはミカンの枝を折って食べるし、今までは大丈夫だった玉ねぎも味を覚えたのか去年から食べ始めて被害が出たそうで、お寺のそばのタケノコは今年全滅だったそうです。
話している最中にも山道の脇に置かれた金属カゴのイノシシ罠が目に入ります。
津和地島の来し方行く末を聞く
他にも色々な話を聞きました。
「島の小学校には今5年生の双子がいるんですけど、その子たちが卒業したらおそらく学校は休校になるでしょうね。残念なことですが。最後の年となる来年の運動会は盛大にやるつもりです」
睦月島でも、野忽那島でも休校となっている学校を見かけました。今この記事を書いているところで調べてみると、やはり津和地小学校は昨年、2017年3月で休校となっていました。
「LCCが松山まで飛ぶようになってから、観光のお客さんも増えまして。こうやってたまに島内を案内するんです」と降ろしてもらったのは、海を望む高台にある島で一番の夕日のスポット。この時は小雨が降っていたので残念ではありました。
「カップルを夕日スポットに案内することもあるんですが、日が完全に暮れるまでそっとしておくか、その前に迎えに行くか結構悩みます(笑)」
なかなか難しい問題ですね・・・。この場所からは津和地島周辺の島々がよく見えます。
雲に霞んだ水平線の先に見えるのは戦艦陸奥の最後の地として知られる柱島。
「昔は柱島などの山口の島々、広島の島にも父の船で連れて行ってもらっていましたが、最近は自治体が別だからとうるさく言われてやめてしまいました。津和地島からはそれらの島々が近いから便利なので、定期船の便を作ってもらうように自治体に掛け合ったこともありましたが、いい返事はもらえませんでしたね」
瀬戸内の島々は、地図上で見ると隣の島まで船で10分ということもしばしばですが、自治体が違うため定期航路がなかったりして簡単に行くことができない場合も多い。これはもったいないことです。
江戸時代の津和地島は諸大名や幕府の公用船が立ち寄る風待ちの港として栄え、松山藩はそれらの人々を接待するために茶屋を設置したそうです。今地図で見ると、津和地島は忽那諸島の西の端ですが、かつてはこここそが交通の要所として中心地だったことが伺えます。
そんな話をしながら島を一周し終わって、宿に戻ってきました。
短い間でしたが、ご主人のお話を聞いて津和地島のことをほんの少しだけ身近に感じられるようになったといえば言い過ぎでしょうか。
ご主人にお礼を言って別れ、雨に濡れる津和地島の町を、自分の足で集落を歩いてみることにしました。(続きます)
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