「忽那諸島」旅 その5(睦月島・野忽那島) 睦月島から野忽那島へ行き「何もない!」と笑って返される
気がつけば関東は桜も終わり、今はツツジが咲き始めてますね。どうも、いづやん(@izuyan)です。
忽那諸島旅の第五回をお送りします。そろそろ睦月島から次の島に移る時間です。
睦月島を離れ、野忽那島へ
港の東側に広がる集落を散策し、また港前に戻り集落の奥へ入ると「注連石」に出会います。
そのすぐ向こうには、すでに休校となった睦月小学校があります。今は誰も通うことのない小学校の校庭を少し眺めても、当時の賑やかさを想像するのは難しかったです。
さらにその道を進むと「當田八幡神社」に行き着きます。立派な石段を登りきると、木々の向こうに睦月の集落が見下ろせます。なかなかに絵になるので写真を撮っていると、島を離れる船の時間があと15分後に迫っていることに気が付きました。
慌てて港まで戻り、待合所で次の島「野忽那島」行きの船のチケットを購入。
外に出ると、高速船がやってくるのが見えます。その様子を写真に収めていると、船の接岸作業をするであろうおじさんから「早く来い」という手招きをされました。
「そんなに時間がないのか」と思いつつ、今まさに接岸しようとする高速船までいくと、船をロープでもやうこともせずタラップを下ろし始めました。
手招きしていたおじさんに乗船券を渡すと「急行券はないですか?」と想定外の返事。
「ええ? なにそれ!?」と驚いていると、その横に立っていた別のおじさんが「あ、忘れてた!!」と声を上げました。
見ると、さっき僕に乗船券を売ってくれたおじさんでした。本来高速船に乗るには乗船券の他に急行券も一緒に売る必要があったのを忘れていたようです。
その場で急行券分の300円を支払って事なきを得ましたが、ちょっと焦りました。
船に乗り込むと、タラップはすぐに上げられてあっという間に離岸。この慌ただしさ、バスに乗ったような気分です。瀬戸内の船は毎日の足なので、バスという感覚はあながち間違っていない気もします。乗船券を買っても乗る時間にちゃんと桟橋にいないと、簡単に置いていかれるでしょうね。
船に乗ると、僕以外には3人の乗客。地元の方のようで、ここでも旅人は僕一人。
10分あまりで、忽那諸島2番目の島「野忽那島(のぐつなじま)」に上陸です。
「何もない!」と笑われる
日が傾き始めた桟橋に降り立ち、一呼吸。振り返ると船はもうタラップを閉まっていました。
さっきは急かされて高速船の写真をじっくり撮ることもできなかったので、ここぞと撮っているとそばにいたおじさんに声をかけられました。
「写真撮りに来たの?」
「そうです、何か見ておいたほうがいいものありますかね」
「なんもない!!(笑)」
と満面の笑みで一言返されました。これもまた、島あるある。でも「何もない島なんて、ない」が持論の僕は笑顔でお礼を言って、野忽那島を歩き始めます。
港に建てられた看板は、睦月島にあったものと同じデザインの地図で、これまた同じようにミカンが採れることを示した山ばかり。確かに何もなさそうに見えます。先ほどのおじさんも姿を消し、あたりには僕一人。
次の船の時間を確認するために入った待合所では、見る人もいないのにテレビが点いていました。寂寥感ばかりが募っていきますが、こういう空気も好きなのです。これもまた、島旅の良さと思うくらいに。(続きます)
他媒体への掲載をご希望の場合は、ページ下のフォームからご連絡ください。
忽那諸島旅(2015年12月)の関連記事
- 「忽那諸島」旅 その16(二神島) 二神島の漁村風景に旅の終わりを感じる
- 「忽那諸島」旅 その15(津和地島) 港周辺を散策し、亀川旅館さんのお昼を堪能
- 「忽那諸島」旅 その14(津和地島) 亀川旅館ご主人の案内で島を一周
- 「忽那諸島」旅 その9(中島) 柑橘農家集団「柑匠の集」のみなさんと飲む
- 「忽那諸島」旅 その8(中島) 忽那諸島主島・中島へ渡り、よろいや旅館に泊まる
- 「忽那諸島」旅 その5(睦月島・野忽那島) 睦月島から野忽那島へ行き「何もない!」と笑って返される
- 「忽那諸島」旅 その4(睦月島) 昼食難民になるも、長屋門の威容に往時の繁栄を思う
- 「忽那諸島」旅 その2(睦月島) 伊予鉄道で高浜港経由、中島汽船で睦月島へ
コメントする