「五島列島」旅 その14(中通島) 青方郷、居酒屋「女島」の夜は更けて
旅先での出会いほど旅をしていてよかった、と思うことはないと思うのです。どうも、いづやん(@izuyan)です。
五島列島旅の第十四回をお送りします。中通島の青方郷に到着、日が暮れるまで辺りを散策します。
青方散策
前回触れたように、青方は想像とは全然違っていて、いわゆる島でいう「集落」では全く無く、しっかりとした「街」という印象です。荷物を部屋において、カメラ片手に辺りをぶらぶらします。
ホテルの裏手に石畳の敷かれた道があって、建っている建物の年季もあって結構いい雰囲気です。
五島うどんの「太田製麺所」も近くにありました。創業大正8年だそうです。
なにやらモダンな建物もあったりします。
ホテルから歩いて5分、立派な「青方教会」が見えてきました。
正面に回って教会の中に入ろうと階段を上ります。すると不意に人影が見えたので少し驚いてしまいました。が、よく見ると聖母マリアとナザレのヨセフ、幼いイエスの像でした。逆光で本当に人影に見えたんですよ・・・。
教会の扉を静かに開けて入ろうとすると、中からミサの賛美歌らしき歌声が聞こえてきたので、すぐに出ました。またいずれ、中にお邪魔することもあるでしょう。
山と海に囲まれた街
青方はすぐそばに港がある一方で、周囲を山に囲まれています。それが街がコンパクトに感じられるようにも思えて、歩いていても楽しいです。
古い町並みを縫うように続く道もあちこちにあります。
高台の側面に通された道もあり、少し高いところから青方の町並みを見ながら歩くこともできます。こういう道、すごく好きなんですよね。階段を登った先にどんな景色が開けるのかと思うとついつい足を運んでしまいます。
古いものと新しいもの
得雄寺というお寺さんもあります。
「番所井戸」という立派な屋根のついた井戸がありました。今でも地域の人が利用しているそうですが、江戸時代の青方には船の出入りを監視する船見役所があり、その船に飲み水を分けていたそうです。
今でも手入れされているのがよくわかる井戸でした。
古い港町の風情を残す町並みがあるかと思えば、23時まで営業している大きなスーパー「エレナ」があったり、ビデオレンタル店や、100円ショップ、21時まで利用できる公共の温水プールまであったり、住むにも便利そうな街でした。
宿に戻ると、予約していたレンタカーが届いていました。島に行く前にあらかじめ予約の連絡をしていたのですが、その時に泊まる宿を聞かれて「それならホテルまで車持って行きますので」とありがたいサービスの申し出があったので二つ返事でお願いしました。
支配人さんから鍵を受け取りながら少し話をしました。そういえば、レンタカーを借りる時に福江島でもここ中通島でも「電気自動車もありますが、どうしますか?」と言われたのを思い出して聞いてみました。
長崎県は三菱重工のお膝元で、三菱自動車が作っている電気自動車の社会実験も兼ねてここ五島で導入されているのだとか。福江島でも奈留島でも電気自動車をよく見かけましたが、そういうことだったんですね。福江島に70台、中通島に30台、がレンタカーとして導入されたのだとか。
電気代は最初からレンタル代に上乗せされていて、ガソリン車みたいにレンタル代の他にガソリン代が別にかかるということもないそうですが、問題はやはり充電時間。使用量にもよりますが、30分は充電しないといけないようです。それもあって、僕も興味はあったのですが見送ったのです。試みとしてはとても面白いと思いますし、島の環境にはよい面の方が多いでしょう。今後の動きをチェックしたいですね。
居酒屋「女島」の夜は更けて
日が暮れてきたので、支配人さんに夕飯食べられるところを聞いてみたら、歩いてすぐそばの「女島(めしま)」という居酒屋を勧められました。青方の飲食店の口コミでは一切出てこなかった店です。大丈夫なのだろうか・・・。
半信半疑で宿から歩いて向かいます。店構えを見てさらに「大丈夫かこれ」と思いました。完全に地元のフツーの居酒屋です。
意を決してドアを開けると、やはり普通の居酒屋です。入り口から見て左手にカウンターとその向こうに板場、カウンターとは通路を挟んで逆に座敷があります。さらに右手の奥には広い座敷があります。宴会も可能ですね。
ただ、僕がお店に入った時点ですでにカウンターも座敷も一杯で、どうしようと思っていると座敷に一人で座っている地元の方が「相席いいですよ」と言ってくれました。
お言葉に甘えて席に着くと、早速その方がボトルキープしている芋焼酎「佐藤」を注いでくれました。「佐藤」を飲むのは初めてですが、これが実にうまい。
メニューはこれまた本当に普通の居酒屋です。串焼きが数種類、刺し身や焼き魚、ツマミなどなど。
刺し身(たぶん鯛とハマチ)と、イサキの焼き魚をつまみに頼みます。刺し身はもちろんうまかったのですが驚いたのがイサキ。どこでも食べられる普通の魚ですが、身がぷっくりとしていてうまい。
「仕事柄九州のあちこちに転勤してるんだけど、ここは本当にいいところでね。最初は離島なんて、て思ってたけど、三年目の今はすっかり楽しんでるよ」とは相席OKしてくれたNさん。
景色も綺麗だし人も温かいし、魚もうまい!とさらに熱っぽく語ります。
「今はしょっちゅう釣りをしてる。師匠はそこの人」と指された方を見ると、板場で忙しく働くお店のご主人さん。大物もよく釣れるそうです。
島の良さを色々を聞くうちに、カウンターに座っていた女の子二人と、僕と同じ旅人の男性、さらにはご主人と女将さんまで交えて、島の話に花が咲きます。
ご主人は猟銃の免許を持っていて、以前飼っていた犬を伴ってキジ撃ちもしていたそうで、その時の様子を事細かに語ってくれました。奥の大座敷には自分で撃って自分で剥製にした(!)キジが飾ってありました。
お互いの出身地の話や、昼間に奈留島でトンビに食べ物を狙われた話をしたら、「私もひどい目に遭いましたよ!」と女の子が言います。
「夏場になると、ここにもクレープ販売のトラックが来るのでたまに買うんですけど、買ってさあ食べよう!と思った瞬間にトンビにクレープさらわれて! 正面から来たので顔にクリームがべしゃー!てかかって大騒ぎになりました」
あまりのことに爆笑しましたね。島と言ってもこの辺は人も多い町中なのに、それでもそんなことがあるとは(笑)
みなさんから島の見どころもたくさん教えてもらい、Nさんのキープの焼酎の他にもご主人からもお酒をごちそうになったりで、完全に二日酔いコースの飲みとなりました。
お店で話しをしてくれたみなさんがこの土地のことを大事に思ってるということも感じられて、それもまた酒を進ませることになっていましたね。こういうことがあるから、旅はやめられないと思うのです。(続きます)
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