「五島列島」旅 その24(小値賀島) 民宿 田登美と喫茶タートルのセットは当たりの予感
実は、旅に出ていないとわりと引きこもり体質なのです。どうも、いづやん(@izuyan)です。
五島列島旅の第二十四回をお送りしますね。年で言うともう二回りです。どこまで続くんだ。でも、渡ってきた小値賀島も面白いところなのでまだもうちょっと続きます。
中通島からフェリー太古に乗って、小値賀島に到着しました。予定ではここで二泊して、最後に五島の北端、宇久島まで行きます。
小値賀島の宿泊の選択肢と、「民宿 田登美」
船が着く港の周りは「笛吹郷(ふえふきごう)」という島一番の町が広がっています。港を背にして伸びる道を電動アシスト自転車で走りながら、笛吹商店街の奥へ進みます。商店街の入り口から歩いても5分もかからないところに「民宿 田登美(たとみ)」さんはあります。
小値賀島では今、島の一般のご家庭に宿泊する「民泊」と、島の古い民家をモダンにリフォームした「古民家ステイ」が人気で、島を訪れる人が増えているそうです。
「民泊」は普段うかがい知ることのできない島の暮らしを身近に感じることのできる体験として魅力的ですし、「古民家ステイ」も他の島ではあまり見かけないので興味がありました。
ただ一人ですと「民泊」ではお互い気を遣いそうだしということで最初は「古民家ステイ」をしようと思ったのですが、お目当ての古民家が1泊しか空いていなかったことと、一人だとかなり割高になってしまうので、諦めて普通の民宿に泊まろうということにしたのでした。
そして今回泊まるのがこの「民宿 田登美」さんです。島にいくつかある旅館・民宿でなぜここにしたかと言えば、「一階が喫茶店をやっている」ということにほかなりません。
島の旅でも、喫茶店でのんびりする時間というのが好きで見かけたらできる限り寄っているのですが、宿の一階が喫茶店なら絶対面白いことが待っていそうという根拠の無い期待を持ってここに決めたのです。
宿の女将さん(後で聞いたらお手伝いさんだそうですが)が出てきて、二階を上がって突き当りの部屋に案内されます。入るとすでに布団が敷いてありました(笑)
福江島、中通島ともいわゆるビジネスホテルだったので、いきなり「ザ・民宿」という部屋に少しテンションが上ります。
「喫茶タートル」で島の生き字引みたいな方と遭遇する
準備をして日が暮れるまで自転車でその辺を回ろうと宿を出ます。ふと、夕飯の時間を聞くのを忘れて、一階の喫茶店を覗いて声をかけると宿と喫茶店のご主人さんがいました。
立ち話のつもりでしたが、観光で島に来たと分かると、色々島のことを教えてくれました。
その他にも、明日行く予定の無人島「野崎島」で、人がまだ暮らしていた時に先生をしていたこと、人のいた頃の軍艦島に行ったことがあるとか。
「当時の軍艦島は、人が多くてビルも立ち並んでいたし大都会かと思ったよ」
都内でグラフィックデザインのお仕事をしていたこともあり、春日部に住んでいたこともあったそう。どれだけ多彩な人生なんでしょうか。そして早速この宿にして間違ってなかったと確信しました。島の生き字引みたいな方とお話出来るだけでもここにした甲斐がありました。
色々なところで暮らしてきたがやはり生まれ育った小値賀島がいいということで、戻ってきて宿と喫茶店をやっているそうです。そんなご主人さん、「トムさん」の愛称で呼ばれているそうなので、僕もそう呼ばせてもらうことに。
「小値賀の良さは『人』なんだよ」とトムさん。話を聞かせてもらっている僕もそれを実感しています。まだ島に着いて1時間ほどしかたっていませんが。
立ち話もなんだと思い、コーヒーを注文。カウンターに座り直し話をじっくり聞くことにしました。この他にも様々な話題で感心しっぱなしでしたが、小値賀が好きだ、という気持ちがひしひしと伝わってきてそれだけでも楽しかったです。
島の歴史にもとても詳しいようで、お手製の地図を見ながら基本的なことを教えてもらいました。小値賀島は五島の中では一番人が住んだ歴史が古くて、郷土資料館も充実しているので見た方がいいとも言われました。
いただいたお手製の地図、グラフィックデザインのお仕事をしていただけあって素朴ながらも絵も上手です。コーヒーのお代を払おうとしたらサービスだというじゃないですか。ありがたくご好意に甘えることにして、お礼を言ってお店を出ました。
笛吹郷周辺をぶらぶら
明日、小値賀島の隣の無人島「野崎島」に渡るのですが、手続きをした「おぢかアイランドツーリズム」で「お昼は事前に用意しておいてください」と言われたので、ひとまず何か食べるものを買いに商店街を歩きます。
途中でやけに元気のいい女性二人に声をかけられます。試作のお菓子いかがですか!とのことで、試食させてもらったら美味しかったのでひとつ買わせてもらいました。色んな島に行ってますが、お菓子の試食を店先でパレットに入れて道行く人に声をかけるなんてこと、見たことがありません(笑)
小値賀島、面白いですね。島に上陸して1時間ちょっとでもう4、5人と話をしています。今までの旅でもそうでしたが、出会った人が面白いと自分の中で印象深い島になりますが、そうなりそうな予感、します。
すぐそばのスーパーで明日のお昼にパンを買います。長崎出身の友人が「見かけたら絶対食べて!」という「ミルクック」も買いました。いわゆるラクトアイスですね。懐かしい味がします。長崎ローカルなんですかね。
牛の塔、小値賀空港
買い物を済ませて、島の南東にある「小値賀空港」を目指してゆるゆると自転車を走らせます。笛吹郷の北には「六社神社」という大きな神社がありました。今までの五島の島だと教会が目立っていましたが、小値賀島には教会はひとつあるだけです。
あちこちで牛をよく見かけます。小さな島なのに水田もたくさんあります。トムさんのお話では、島外からの移住者の多くが、休耕地を借りて農業に従事している、とのことでした。
海岸に「牛の塔」という、新田開発のために倒れた数多くの牛を祀っている供養塔があります。
小値賀島はその昔東西で二つにわかれた島だったそうです。その間の海を埋め立てるのに牛が使役されたのだとか。
真偽の程は定かではないのですが、地下に一石一字の経文石を三万個埋めているらしいです。
さらに島の東の方へ向かいます。
小値賀空港まで来ましたが、ここは2006年3月で定期便の就航はなくなり、休止状態ということです。建物の上の展望スペースに登れたので上がってみたところ、無人と思ってた二階の事務所には人がいて仕事をしていて驚きました。
正面の窓が長崎っぽい意匠で、ステンドグラスでした。
後で島の人に聞いてみたところ、たまにチャーター機が降りることがあるそうで、そのために職員が詰めているのだろうとのことでした。そういえば、中通島の空港も休止状態とのことで、島の人にとっても旅人にとっても残念な状況ですね。
空港そばの海岸の石は黒っぽいです。ここ小値賀島は火山由来の島なのでそのせいなのでしょう。
途中、神島神社(こうじまじんじゃ)に立ち寄ったり、神方古墳(かみかたこふん)という古墳があると地図に書かれていたので探したのですが見つからず。あとでトムさんに聞いたところ「あー、あれは人の家の敷地内にあるから」と言われました。そりゃ見つからないわ。
小値賀島唯一の教会、「小値賀教会」も地図には載っていましたが見つけられませんでした。どうも普通の民家と見分けがつかないようです。
夕方宿に戻ってきて、夕食の前に風呂に入りました。お湯が張ってあったので、この旅で初めての湯船を満喫。福江島でも中通島でも温泉に入りそこねたのでとてもありがたいです。
島では水が貴重なこともあって、わりとどこもシャワーのみ、みたいなところが一般的なのでこれはちょっと嬉しかったです。
夕飯は派手さはないですが、ちょうどいいボリュームで美味しかったです。昼間にご主人のトムさんが「島のことはまた夜にでも」と言っていましたが、見かけなかったのでまた明日、喫茶タートルででも聞くことにします。(続きます)
他媒体への掲載をご希望の場合は、ページ下のフォームからご連絡ください。
五島列島旅(2015年5月)の関連記事
- 2泊3日のプランあり! 五島列島・福江島への行き方
- 「五島列島」旅 その31(小値賀島) 海を望むゴルフ場、数千年を経たポットホール、真っ赤な田んぼ
- 「五島列島」旅 その30(小値賀島) 島の歴史を聞きながら見る風景、神島神社の謎
- 「五島列島」旅 その25(野崎島) 無人の島に残る廃村 野崎集落跡と墓地跡を見て盛時を想う
- 「五島列島」旅 その20(中通島) 珍しい石造りの頭ヶ島天主堂は、夕日に照らされて
- 「五島列島」旅 その17(中通島) 小瀬良教会、江袋教会、赤波江教会へ
- 「五島列島」旅 その14(中通島) 青方郷、居酒屋「女島」の夜は更けて
- 「五島列島」旅 その12(奈留島) 千畳敷で鬼鯖鮨を食べる
コメントする