「利尻島・礼文島」旅 その4(利尻島) 力丸で北の食材の底力を堪能し、突然の停電で星を撮る
2016年の利尻島・礼文島旅のレポート、第4回です。利尻島に着いた日の午後は日が暮れるまで近くの姫沼に足を運び、鴛泊港のペシ岬で夕日を眺めました。
そういえば、腹が、減った
僕の島旅、移動時間を切り詰めた結果お昼を食べそこねることがよくあります。この日もよく考えたらお昼は新千歳空港で飛行機の乗り換えで、利尻島に到着してからも日が暮れるまでの時間が惜しいと何も食べずにあちこち回っていました。
宿は基本素泊まりなのでどこかに夕飯を食べに行くしかありません。そんなわけで、歩いて10分ほどのところにある居酒屋「力丸」さんへ。店構えが入りやすそうだったので覗いてみると、ちょうどカウンター席の端っこが空いていたので滑り込みます。
小綺麗な地元の居酒屋といった風情で、メニューは利尻島の名物メニュー的なものがなくちょっと残念に思えましたが、派手さがないのは島の人が使っている感があってよさげに思えます。
ビールを注文する時にオススメを聞いてみると、「刺盛りとか、タチカマ、ホッケですね」とのこと。
刺身の盛り合わせ、姫ホッケ、を注文。刺盛りにはさっきオススメされたスケソウダラの白子で作ったカマボコ、タチカマも載っています。
普通のカマボコよりプリプリしていて美味。刺身もソイ、ホタテ、イカ、タコと、メンツはよく見かける魚たちですが、どれも新鮮で旨味と歯ざわりがよくて実に美味い。
姫ホッケはそういう種類のホッケかと思ったら、食べやすくカットしたものをそういうそうで。脂が乗って柔らかく、つまみには最適。ホッケなんてと思ってましたが、さすが本場北海道、これもまた美味い。北の海の実力を思い知らされながら、ビールが進みます。
最初に頼んだものを早々に食べきってしまったので、これも関東では聞いたことがない「コマイ」なる魚の生干しを注文。コマイは氷下魚と書くタラ科の魚で、北海道ではポピュラーな魚だとか。
一夜干しで出回ることが多く、炙って七味マヨネーズをつけて食べるとぷりぷりした食感にタラの旨さが広がって実に愉快。
「この食感どこかで・・・」としばらく考えていましたが、「ハタハタだ!」と思い至ります。あの独特の食感によく似ています。ハタハタが好きな人はきっと気に入る旨さ。
刺身が思いの外ボリュームがあったので、コマイを食べたところでお腹が一杯に。
最初にメニューを見た時に感じた地味感は、食べ終わる頃にはすっかり吹き飛んで、「さすが北海道の島・・・見慣れた魚なのにどれも一段上の美味さ・・・」と脱帽していました。
利尻の夜は、島旅トーク
いい気分になったところで思い出しました。
「いづやん、今夜ミーティングルームで今までの島旅の話し、何かしてくれない?」
うみねこゲストハウスの西島さんからそうお願いされていたのです。
このゲストハウス、古き良き徒歩宿やユースホステルのように、同宿のお客さん同士の交流をお手伝いしようという雰囲気があり、こうやって旅好きが各自の旅を語る会も定期的に行っているようです。
幸い、仕事柄何かあった時のためにノートPCを持ち歩いていて、以前イベントで同じように旅の話しをした時のスライドデータまであります。
20時半ごろにお店を出て宿に戻り、準備を進めます。
この日の参加者は僕を除くと、オーナーの西島さんとみんなに「番頭さん」と呼ばれている小学生の息子さん、20代と思しき男性と大学生の女性の3人。宿に泊まっている人はあと数人いるようですが、出かけているのかこの時はいませんでした。
島旅トークのネタは、以前離島キッチンのイベントで話した小笠原。ミーティングルームにはプロジェクターもあるので、持ってきたノートPCとつないでイベント時に使ったスライドを見せながらのトーク。女性の方は小笠原にも行ったことがあるそうで、結構楽しんでもらえたようでした。
トークの後は軽く飲みながら各自の旅の話しを聞く時間。男性の方は静岡からやってきて、バイクで北海道一周の旅の途中。いいなあ、バイクで北海道。同じライダーとして、若い時にしておくんだったと一瞬遠い目になります。女性の方は、本当は道東に行きたかったけど雨を避けて移動しているうちに礼文島・利尻島に流れてきたそう。
「○岩荘にも泊まったけど、色々すごかった。朝5時に大きな音楽で叩き起こされるのは参りましたけど(笑)」
例のあそこか・・・と面白く話しを聞かせてもらいました。ウワサに違わぬ凄さらしい。
突然の停電
ぴーんぽーんぱーんぽーん。
「えっ、なになに!?」
突然の島内放送。時計を見れば23時を回ったところ。
「こちらは防災利尻富士です。火力発電所の不具合により、このあと23時半より3時間ほど、停電いたします」
えっ、停電!? しかもあと30分くらいしか猶予時間がない! 島に行くと台風が来るのには慣れっこですが、停電の経験はありません。ちょっとあたふたします。
「携帯やカメラの充電ができない・・・」とまず自分の心配をしますが、島全体の停電となればお店や漁港の冷蔵庫・冷凍庫も気になるところ。夜中の急な連絡ということもあって何かただならぬ雰囲気。
もちろんミーティングルームでの会はお開き。慌てて部屋に戻って真っ暗になってもいいように色々準備します。
ここでとある考えが頭をよぎります。
「全島で停電になるのであれば、宿の目の前でも星が綺麗に撮れるのでは・・・?」
寝床の準備を早々に済ませ、カメラと三脚の準備を始めたのでした。
「役場からお知らせします。23時半の停電は予定を変更して0時より3時間となります」
カメラに三脚のクイックリリースプレートをセット、設定をバルブにしてその時を待ちます。
0時、日付が変わるとともに部屋の電気、窓から見える街灯が消えました。
よし、星を撮りに外に出ようと荷物を担いでドアを開けると、ちょうど隣の部屋の人も出てきて「非常灯が眩しくて寝られない」と言います。確かに自分の部屋の入り口でも非常灯が点いていました。ちょっと調べてみても、非常灯そのものを消すスイッチなどはない模様。
諦めて外に出ると、完全に真っ暗ではありません。隣のホテルでも各階に非常灯が点いているし、港の建物でも同様です。
停電であっても完全な暗闇にはならないということを、離島で思い知りました。
港には漁協関係者でしょうか、車が数台出入りしているのが見えます。
翌日聞いた話ですが、この停電は変圧器が異常な温度を示して火災の危険が出たための応急処置だったそうです。後日変圧器の交換のためにまた停電となるとか。
せっかく準備してきたので、宿の前で三脚を立てて星空を撮ってみますが、明るいものが多いので大した写真は撮れませんでした。
15分ほどで部屋に戻り、非常灯の明かりが顔に当たらないよう布団の位置をできるだけ奥に移動して就寝。
「うわっ、まぶしっ!」
2時半ごろ、停電時に消し忘れた電気が復旧とともに点いて起こされたのはいい思い出です。(続きます)
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