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「利尻島・礼文島」旅 その3(利尻島) 姫沼に逆さ利尻富士を求め、ペシ岬で夕暮れを見る

2016年の利尻島・礼文島旅のレポート、第3回。利尻島に無事到着し宿へのチェックインも済ませました。

日が暮れるまで、周囲を見て回ります。


今朝から季節は秋

日が暮れるまでにはまだ時間があるので、宿のある鴛泊近辺をまず見て回ります。

雲が多いとは言え晴れているので、今のうちに利尻富士の勇姿を見ておきたい。もっと言えば、島に点在する池や沼に映る逆さ利尻富士を写真に収められたら、と夢想しつつスクーターのアクセルを開けます。

「さむっ!」

走り出してすぐ、半袖短パンだと寒いということに気が付きます。あとで聞いた話ですが、この日の朝降った雨を境に、長かった今年の夏も終わり急に秋が来たとのこと。北の地の季節はガラッと変わると聞いたことがありますが、まさに今日を境に利尻島は秋になったようでした。

8月の終わりといえど、季節は秋。冷えた空気を感じながらスクーターを走らせると、鴛泊港を一望できる場所に来ました。

港の目の前にあるうみねこゲストハウスの裏手には、鴛泊港の象徴とも言える「ペシ岬」が町を守るように背後にそびえています。目を凝らせば峰まで登る細い道が見えます。あそこから夕日を見たらきっと最高に違いない。


姫沼の静寂と、惜しい逆さ利尻富士

宿からスクーターで15分ほどで、姫沼の駐車場に到着。そこからごうごうと水量豊かな音を立てる沢に架けられた橋を渡り、森の中の遊歩道を進むと六角形の可愛らしい休憩舎が見えてきます。

目の前には姫沼と利尻富士。鳥の声と風の音以外しない静かな空間が広がっています。利尻富士は左側にあるはずの山頂だけ雲に隠れていて実に惜しい。

姫沼には木道の遊歩道がぐるっと一周できるよう架けられていて、散歩をするにはもってこい。夏の終わりの平日だからか、人はまったくいません。

木道を進むといくつか展望所と言えそうな視界が開ける場所があり、姫沼に映る利尻富士を写真に収めることができました。が、やっぱり山頂だけ雲に隠れていて残念!

「コツコツ、コツコツ」

写真を撮っていると、背後の森からときおり聞こえると音。キツツキが木を叩く音ですね。前を向けば姫沼の水面を水鳥が渡って行きます。

姫沼は、かつて付近に三つあった湧水池の流出口をせき止めてひとつになり、その後ヒメマスを放流したことで「姫沼」の名がつけられたそうです。周囲の森もトドマツやカラマツなどの針葉樹が茂り、南の島とはまったく違う雰囲気。

遊歩道は一周30分ほど。しばし一人の贅沢な時間を堪能します。

先ほどの休憩舎をのぞいてみると、中は利尻島で撮られた写真があちこちに飾られていて、ここ姫沼の景色を切り取ったポストカードも売られていました。先ほど遊歩道を歩いている時にカメラを持った男性一人とすれ違ったのですが、その方がここのご主人のようです。

写真を眺めながら、少しお話しできました。

「利尻島はお盆を過ぎると秋の気配がしてくるんですが、今年はなかなか涼しくならなかったですね。今朝からやっと、涼しくなりました」

本当はもっと早くから秋になる土地なんですね。

この休憩舎は夜はトイレは閉まってしまうけど、姫沼の遊歩道は特に閉めないので星空を撮るのにももってこい、とも教えてもらいました。確かに周りが森に囲まれていて空が開けています。綺麗な夜空が撮れるに違いない。

その姫沼と利尻富士の星空のポストカードを1枚買わせてもらい、お話しのお礼を言って休憩舎を後にします。

日が落ちる前の光は、何気ない場所でも振り向かせるには十分な景色に変えてくれます。あちこち止まりながら鴛泊港まで戻ります。


鴛泊港のシンボル、ペシ岬へ

一旦宿に戻ると、宿のオーナーの西島徹さんが戻ってました。久しぶりの再会を喜びます。

色々思い出話しもしたいところですが、日が落ちる前に宿の裏手にそびえるペシ岬に登っておきたい。話もそこそこにまた宿を出て、裏の斜面に刻まれた遊歩道に向かいます。

手前には厳島神社がひっそりとしていて、さっと手を合わせて旅の無事を祈り、ペシ岬の頂上を目指します。

途中に蝦夷地防衛のために送られた会津藩士の墓がありました。

一人分の幅のなかなかの急勾配の道を息も絶え絶えに登ると、さすがの見晴らし。

眼下に鴛泊港、その向こうに利尻富士。西に沈む斜光を浴びて海も草の斜面も金色に輝き、その存在をアピールするかのよう。

ペシ岬の頂上にはちょっとした展望スペースが設けられていて、すでに先客が二人ほど。

向こうには数日後に渡る礼文島。

頂上から岬の先端部に向かって降りる道があり、その先には鴛泊灯台。これから暗闇に沈む海を照らす仕事を待っていました。

やがて、日本海の西に日は沈み、利尻島での初日が終わろうとするのでした。秋になったばかりの利尻島、夕暮れ時の山の上で半袖短パンはさすがに寒さが身に沁みてきたので、日が落ちきる前に頂上から退散です。(続きます)

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