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「五島列島」旅 その28(野崎島) 無人島に泊まれる! 「野崎島自然学塾村」は充実の施設だった

すっかり暖かくなってきて島旅日和ですね。どうも、いづやん(@izuyan)です。

五島列島旅の第二十八回をお送りします。朝早くから動き始めて、野崎島を歩きまわって廃村をそぞろ歩き、旧野首教会に驚いてきましたが、そろそろくたびれてきました。


充実の設備で無人島に泊まれる「野崎島自然学塾村」

島の西側野首港まで出て、ひとしきり写真を撮り終えてそろそろ休憩と昼食にしたいと思い、来た道を引き返し旧野首教会のある場所まで戻ってきました。

旧野首教会のそばにある廃校した小中学校を利用した「野崎島自然学塾村」は、島に訪れた際に自由に休憩ができるようになっています。(野崎島に渡る手続きをする際に「おぢかアイランドツーリズム」に払う1000円に施設利用料が含まれています)

校舎の前に日除け風よけの木が並んでいるところが「自然学塾村」の建物です。

「自然学塾村」は見た目本当に学校です。入り口にはひょうきんな「村長」もいます。

校庭だったところにはテントサイトがいくつも設置されています。予約すればテントを借りることができます。1張2〜4名での利用で1名2000円。

入り口入ってすぐのところが管理人室です。今まで野崎島の記事で「無人島」と書いてきましたが、実はこの「自然学塾村」に管理人がほぼ常駐しているので、純粋な無人島ではないのです。

管理人室の入り口そばの壁には、野崎島の情報が色々貼りだされていました。施設内では無線LANを利用することも出来ます!

島内にはもちろん商店はありませんが、建物内には自販機がありました。

廊下を見ると、ここが学校だったことがよくわかります。

こういう流し、いかにも学校のものですよね。

「廊下は絶対走らないようにお願いします。違反者には怖い罰があります。お楽しみに?」掃除ロッカーに貼られた張り紙。

どんな罰なんでしょうか。夜中一人で無人の教会見回りとかでしょうか・・・。

キャンプや合宿でもよく利用されているようで、洗濯機までありました。

各教室を改装した宿泊室です。畳敷きの広々とした空間。一人からでも泊まれるそうです。宿泊時は布団などの寝具を利用することができるそうです。一週間前までに予約が必要です。

休憩でも宿泊でも利用可能な、「厨房」と札のかけられた調理室。宿泊の際の食事は自炊のみなので、食材を持ち込んでここで調理することになります。

扉を開くまで家庭科室みたいなものを想像していたら、しっかりとした「厨房」が現れて面食らいました。

大人数にも対応できる炊飯器や鍋、やかんも勢揃い。

「作るのめんどくさい!」という人にとってはありがたいレンジやトースター、小さい炊飯器もありました。

包丁やバットもずらり。

冷蔵庫も業務仕様のものでした。

コンロもあちこちにあります。フライパン、中華鍋もご覧のとおり。

食器もあります。食材だけ持ってくれば、あとは全て賄えそうです。

「食堂」もあります。入り口の風情は完全に教室のもの、ですが。

「食堂」はどうやらホールか何かを改装したもののようでした。奥にカーテンの掛けられたステージやピアノがあります。

食堂入口脇の本棚には小値賀島や野崎島について書かれた本、図鑑などが並んでいました。夜泊まった時にも退屈しなさそうです。

ピアノもありました。

誰かが読んだ後なのか、本が置かれていました。

ここに来た時には他のお客さんもいました。適当な席に座って昨日小値賀島のスーパーで買ったパンでお昼にします。

「おぢかアイランドツーリズム」のサイトによると、宿泊だけに限らず休憩でもシャワーの利用はできるそうです。

宿泊は通常期は一泊3500円。1週間前の事前予約が必要とのこと。1部屋の最大収容人数は12人、とのことです。いくつも教室があるので、学校の修学旅行やら林間学校でも問題なく泊まれそうですね。表のテントサイトを使えばもっと大人数で過ごせそうです。

と冷静にレビューしていますが、実際には「ここすっごく泊まってみたい」とコーフンしていました! 特に他に誰もいない時に一人で! 日が暮れる時間に野崎港や旧野首教会の写真を撮るにはここに泊まるしかないのですが、それだけで心踊る体験に違いないです。晴れて星が綺麗な時には旧野首教会と星、なんていう景色も撮れそうです!

朝、町営船が他の人を連れてくる前の時間も独り占めできます。

もちろん、大部屋、機材一式揃った厨房を備えたここなら、大勢で楽しむのもありです。島の東でも西でも真っ青な海がすぐそこにあるのです。楽しくないわけがないでしょう。

やはり、もう一度、今度は泊まるためにこの島に来る必要があります。


「ヌカカ」の恐怖

さて、休憩を終えて自然学塾村を出る時に、もう一度管理人室そばの色々な掲示を見ていると、とある張り紙から目を離せなくなりました。

それは・・・「ヌカカ」とよばれる体長1〜2mmのすごく小さなブヨ?について書かれたもの。

実は島に渡る前に「おぢかアイランドツーリズム」でこの「ヌカカ」について注意をされていました。

野崎島に渡ってから、野崎集落跡と港周辺などでやたらとコバエがたかってくるなあと思っていたのですが、これが「ヌカカ」だと認識したのはこの自然学塾の掲示板を見てからでした。昨日注意されたはずでしたがそれと認識できなかったんですよね・・・。

なぜかというと、普通ブヨの類いは刺された瞬間に痛いのですが、この「ヌカカ」の始末の悪いところは「刺された時は何も感じず、翌日からすごくかゆくなる」というところです。

「え、首やら肩やら結構刺されてる気がする・・・」と思ったのも後の祭り。

発生時期は「4月下旬から7月くらいまで」。対処方法は、なるべく肌を露出しないことで、長袖長ズボン、帽子、タオルを首に巻く、などする必要があります。が、温かいところを好んで入り込んでくるので、タオルの隙間にも入ってきたりします。

帰りにガイドさんに聞いたら、虫よけスプレーでも効果がないものもあるし、あっても時間の経過とともに効果が薄れるので、一番の対処法は常に手やタオルで払うこと、だそうです。

ちなみに、僕は野崎島から帰ってきた翌日からかゆくなってきてたまりませんでした・・・。ただし、どういうわけか、かなりやられたと思った首筋に刺されたところはほとんどなく、代わりに肩甲骨や鎖骨周りを相当刺されていました。どうも、日焼け止めを塗りたくったところは避けているみたいでした。


小値賀島に延泊を決める

港まで戻ってきて町営船が来るのを待ちながらあたりの写真を撮っていましたが、やはりヌカカがしつこくたかってきてやや憔悴気味。最後の方などはタオルをぶんぶん振り回していました。

そうこうしているうちに「はまゆう」がやってきました。

「はまゆう」に乗って無事小値賀島に戻ります。

その道すがら「親和銀行」が営業しているのを発見し、しかもATMが使えるのにも気がつきました。

この前の島、中通島で旅費が思ったより残り少ないことに危機感を覚えていたのですが、自分のメインバンクである三菱東京UFJ銀行のキャッシュカードも問題なく使えて胸をなでおろしたのでした。ただ、旅先はいつも島。そう毎回うまいこといくわけがないのです。次回は気をつけないといけないですね。

宿に戻り、夕飯の時間まで一階の「喫茶タートル」でまたご主人のトムさんのお話を聞きます。

トムさんのご先祖様は、野崎島で僕が巡った二つの集落の他にもう一つ、島の南にある「舟森集落」(舟森郷)に住んでいたそうで、その関係で舟森に記念碑を建てたのだとか。

この写真は喫茶店の壁に貼られた舟森郷の碑を建てた時のものです。

野崎島から小値賀島に戻る時に、目を凝らせば見えたかもしれません。

その舟森郷は野首集落と同じく隠れキリシタンの集落で、「瀬戸脇教会(せとわききょうかい)」という教会まであったそうですが、今は建物は残っていないそうです。ただ、喫茶店内にトムさんが描いた在りし日の瀬戸脇教会の絵が飾られていました。

舟森集落と浅からぬ縁を持つトムさん、そのご先祖様の史実を基にした「舟森郷縁起」という劇の脚本まで書かかれています。

よく見ると店内にもトムさんの描いた絵がたくさん飾られ、果ては作詞した小値賀の歌まで出てきました。東京でグラフィックの仕事をしていた関係で、ポスターやTシャツのデザインなんかもしてしまうそうです。小値賀の意匠のTシャツデザインを見せてもらいましたが、実物があったらぜひとも欲しいところでした。

それにしても、多彩すぎます。

結局、トムさんが語る島の歴史やそれにまつわる物語があまりに面白くて、明日宇久島に渡るのをやめて急遽小値賀島にもう一泊することにしたのでした。トムさんが楽しそうに語る小値賀島のことをもっとよく見ておきたくなったのです。

明日はどうするのかと聞かれたので、1日ゆっくり島を巡る、と言ったら、

「それじゃあ明日車で島を案内してあげよう」という嬉しい申し出があったので二つ返事でお願いすることにしました。

こういう展開こそ、島旅の醍醐味だと思うのです。(続きます)

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