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「吐噶喇列島 絶海の島々の豊かな暮らし」を読んで、まだ見ぬ島々に思いを馳せる

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まだ見ぬ島でもその光景を垣間見せてくれる本は、島旅好きにとってありがたい存在です。どうも、いづやん(@izuyan)です。

島旅好きでもそうそうあちこちにいけないので、興味のある島の本で期待に胸を膨らますことだってあります。


離島好きの憧れの地「吐噶喇列島」

吐噶喇列島。読めないですよね、「トカラ列島」と読みます。

鹿児島県の屋久島から奄美大島へと連なる、7つの有人島と5つの無人島からなる島嶼群です。「十島村」という自治体でもあります。

離島好き、島旅好きにとっては憧れの地と言っても過言ではない、そんな島々なのです。それは、「行きづらさ」とある意味同義です。鹿児島からトカラ列島の島々に停泊する定期船は3日で鹿児島と奄美大島の間を行き来しています。でも来てすぐ次の船で帰ることにすると、島にはたった1日しかいられないのです。

また、島への交通手段は「フェリーとしま」のみ。天候悪化で船が欠航したら、あっという間に島に缶詰です。おそらく行きづらさは、小笠原や青ヶ島に匹敵するかそれ以上かもしれません。

ああ、トカラ列島・・・(恍惚)


そんなトカラ列島の魅力を島ごとに紹介

僕には旅のレポートを書く上で、何人か目標にしているというか憧れの人がいます。作家の池澤夏樹さん、写真家の故・星野道夫さん、そしてライターの斎藤潤さん。

斎藤潤さんは、旅雑誌の編集に携わったあと独立してフリーのライターとなり、旅、島、食、農林漁業などをテーマに活動を続けています。島好きの中では特に「日本の有人島のほぼ全てに行った人」として有名です。

その斎藤潤さんが憧れの地「トカラ列島」について書いた本が「吐噶喇列島 絶海の島々の豊かな暮らし」です。

主にトカラ列島の有人島7つについて書かれています。1つだけ、元有人島で今は無人島の臥蛇島についても触れています。

トカラ列島最北の口之島では、一度島を出て戻ってきてからトカラ黒毛和牛を育てている家族の話を聞きつつ、野生牛「ところ牛」について思いを馳せる。中之島では東区温泉で地元の人の昔話に耳を傾け、無人島と化した臥蛇島ではそこで暮らした人々と、元島民の思いを歴史から辿ったり。

平島では移住者して魚醤づくりを始めた人の夢を聞き、次に島に訪れる時を楽しみに思い、諏訪之瀬島では、数十年前に存在していた不思議なヒッピーのような人たちの集落「バンヤン・アシュラマ」の思い出話と今の島の姿を重ねています。

悪石島では、今やトカラ列島の顔となった感のある来訪神「ボゼ」が、時代の流れによって変わっていく姿を複雑な思いで見つめます。小宝島では、トカラハブだらけの竹山を踏破し地元の人に呆れられたり、宝島でサトウキビや製塩の現場を見て、「島に戻ってくれば自給自足で生きていくことができる」という島人の話を聞く。


確かな知識に裏付けられた島の姿

飾らない文章ながらも、絶海の島々に暮らす人たちの様子や、自然、景観、風土が生き生きと描かれていて、まだ見ぬ遠い島への期待がふくらみます。

島に行くとよく思うのが「(いい意味で)なにもないところだなー」なのですが、斎藤さんの視点を通せば、そこには島に暮らす人たちの豊かな背景が浮かび上がってきます。

食べ物、植物などをとっても、それが何であるか、どういうものなのかを、豊富な知識から「これがここにあるのはこう言った理由から」とさらっと説明してくれる。

「草や木でも名前を知ってるだけでやはり見てる景色が変わるものだなー」と思わされます。僕が書きたいのはこんな旅のレポートなのかもしれません。

トカラ列島に興味があったり、島の文化や暮らしに興味があるなら、読んで心躍ること請け合いです。とにかく必ず行こう、そう思わせる本でした。


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