「鳩間島旅」旅 その3 灯台の森から聞こえる不思議な笛の音の正体
時には少し立ち止まって周りの景色を見るのも大事だと思います。どうも、いづやん(@izuyan)です。
2013年7月の鳩間島旅、第三回をお送りします。やっとのことで島にたどり着き、日が暮れるまで辺りを散策します。
あのたくさんいた人たちはどこへ
荷物を宿に置き、カメラを片手に集落を散策します。時間は17時前ですが、夏場で西の島ということもあり、まだまだ日が高い。
宿から港へ下る道も今は人影が見えませんでしたが、すぐ近くの自販機で飲み物を買ってたら、そばの家のおじさんに話しかけられました。
気さくで雰囲気のいい島、という勝手な認定を自分の中でしながら、一度港まで向かいます。
ほんの30分前までは大勢の人で賑わっていた港も、今は人の気配もありません。
この静けさを味わいたくて、小さな南の離島に来たのです。それにしても、人がいません。
森のなかで笛の練習?
港から宿の方に引き返し、そのまま島の中央部に続く道に向かいます。集落の裏手の山の中にある灯台まで歩いていきます。
途中、島人のみ入れる御嶽への入り口がありますが、もちろん入り口からのぞくだけ。
島外者禁制の小径の前を通り過ぎると、左手に森の中に続く道。やや上りのそこに足を踏み入れると、木々の中から笛のような音が聞こえてきます。
ちょうど雅楽で使う「龍笛」のような音です。ただ、練習中なのか、とぎれとぎれだったり、途中調子が狂ったりしています。
誰かが龍笛の練習中? それもこんな山の中で? そもそも八重山の音楽に龍笛って使われていたっけ? と疑問ばかりが頭によぎります。
練習の邪魔をしては悪いと思い、静かに歩くことにしましたが、進めど人がいる気配がない。しばらくすると、笛の音はぴたりと止まってしまいました。もちろん誰にも会いません。
あとで宿の人に聞いたのですが、実はこれ、「アオバト」という鳩の鳴き声なのだとか。僕の知ってる鳩の鳴き声じゃない! 参考までに他の場所のアオバトの鳴き声動画を貼っておきます。僕が聞いたのはもっと高い声で、本当に龍笛にそっくりでした。
遠いですが、別のところで撮ったアオバトがこれ。全体的に黄緑色をしています。
灯台から鳩間島の海を眺める
舗装路から脇道に入ってわりとすぐに、灯台に到着です。鳩間島は小さい島だからか、普通は港や岬に建っている灯台が内陸にあります。
島の高台に建っているため、見晴らし良し。港とそこに広がる青い海が一望できます。
灯台の敷地のすぐそばに、石で作られた展望台のようなものがあります。脇には「物見台復元之碑」という石碑が。
これは「先島諸島火番盛(ひばんむい)」という、宮古諸島や八重山諸島の島々に点在する遠見番所群の一つだとか。国の史跡にも指定されています。
17世紀の琉球王国において薩摩藩の要請で作られたものだそうです。中国への進貢船の航海状態や異国船の到来を、狼煙を上げて各火番盛伝いに知らせていたようです。
灯台と火番盛で周囲の景色を堪能してから、来た道を戻ります。
島の中央へ続く道は、集落を抜けて灯台脇を過ぎるとすぐに土と草の道に。日が暮れてきたのでこの先へは明日行くことにします。
平日で、暑い昼日中だからか、自販機のそばでおじさんと会ったきり、誰ともすれ違いません。遠い島に来たのだなあという感慨に耽りながら、集落への道を戻るのでした。(続きます)
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