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初めての同人誌、こうやって作りました

気がつけば今年ももうあとわずか。どうも、いづやん(@izuyan)です。

先月のコミティアで頒布した島写真同人誌「ISLANDSCAPE」について、どうやって作ったか記事として残しておきたいと思います。自分自身の備忘録的な記事です。


まず何の本にするのか

同人誌と言っても多種多様、千差万別、人の思いの数だけあると言っても過言ではありません。「島の何の本を作るか」をまず考えます。

・このブログの島旅レポートの加筆修正本
・島写真集

この二択で考えていました。

考え始めたのが入稿締め切りの一ヶ月半前。初めての紙モノの制作、試行錯誤するには少し時間が足りないと感じていたので、悩んだ末、ページレイアウトのフォーマットを決めてしまえばあとはそんなに時間をかけずに済みそうな「島写真集」で行こうと決定。

レイアウトしながら文章も考えて、という文章メインの本はもう少し本作りに慣れてから、とも考えました。まずは紙と印刷のお作法を会得しないと。


印刷所を選ぶ

どんな本を作るかで、内容と同じくらい重要と感じていたのが「印刷所のチョイス」でした。写真集で行く、と決めてから同人誌を印刷しているところを中心に以下のポイントで選びました。

・色々な種類の紙で印刷ができる
・紙見本が入手できる
・印刷が(他のネット入稿できる印刷所と比べて)綺麗
・色校正ができる

紙見本が手に入るところで、同人誌印刷をやっているところ、ということで以下の印刷所を候補に挙げました。

この中で大量の紙見本を見やすそうなカタログで請求できるのと、「コミグラ」という同人誌印刷に特化した見やすいサービスページを持っていたことから「グラフィック」に決定。早速紙見本カタログを請求しました。


いい紙は、高い

グラフィックで会員登録後、フォームから紙見本を請求。一週間も経たないうちに手元に届きました。

おお・・・こんなに紙の種類ってあるんだ、と見本を触りながらニヤニヤします。

グラフィックのサイトで、冊子印刷の見積もりができるのですが、気に入った紙で色々見積もりしてみます。

「う、やっぱりいい紙は高いな」

当たり前ですね。ちょっと凝った紙で刷ろうとすると、途端に1冊の単価が跳ね上がります。コストと写真映え、手触りなどを天秤にかけて悩んだ末、マットコート紙かGマットコート紙で行くことにしました。1冊の値段を考えると結局スタンダードな紙に落ち着いたのでした・・・。


本の大きさ、判型、ページ数を決める

本のサイズはかなり悩みました。

写真なら大きく見せたいのが人情というものですが、手に持ったときの収まり具合も大事にしたい。

一般的な同人誌のサイズはB5判が多いのですが、写真集ということでB5横判とすると、結構紙がぺらぺらしそう。A5の方がモノとしてまとまって見えるのではないか。

散々シミュレートしたのですが、最終的にはA5横判にしました。このサイズだとシリーズ化していった時に壁に並べたらちょっと可愛いかな、と言う思惑もありました。

テキストが少ない写真集でページ数が少ないとすぐ見終わってしまってもったいないのと、写真をある程度まとまった量載せたかったということで、表紙などを含んで44ページとしました。


写真を選ぶ

本の方向性が決まったところで、改めて島の写真を選んでいきます。以前、「Facebookページ 1000いいね突破プレゼントキャンペーン」で作成したフォトブック用に選んだ写真を中心に、追加などをして150枚ほどの写真を選別しました。

そこからさらに40枚ほどの写真に選んでいくのですが、これがなかなか捗らない。モニターを見ながら選んでも埒が明かないと思い、コンビニのネットプリントでインデックスプリントしたものを切り分けて、机や床に並べて見開き時のレイアウトを想定して選んでみました。

一枚新しい写真を入れるとその隣にはこれを入れたい、となってしまって結構際限がありませんでした。それでもなんとか40枚ほどまで選別。

今回一番手間の掛かった作業かもしれません。


大まかな台割とレイアウト案

次は台割(ページ構成のようなもの)とざっくりしたレイアウトを考えます。

使ったツールはMacのプレゼンテーションツール「Keynote」。Microsoft OfficeのPowerPointでもよかったんですが、たまに触らないと忘れるのであえてKeynoteをチョイス。

見開きの基本的なレイアウトを作って、写真とキャプションを入れてバランスを見ていきます。

KeynoteやPowerPointは全部のページが俯瞰して見られるモードがあるので、見せ方の流れを考えるのに役立ちました。

例えば、青い写真が続かないように写真の順番を入れ替えるなどして、実際の入稿データを作り込む前に大まかな見せ方を決めてしまいます。


載せる写真が決まったら、印刷用にLightroomで再度現像

載せる写真と順番がいい感じになったら、写真管理編集アプリケーション「Adobe Lightroom」でそれらの写真を印刷用に調整していきます。

Lightroomでの写真現像ですが、普段の用途はモニター鑑賞とWeb掲載用なので、現像後はJPG形式の72dpiで書き出しています。

今回は印刷データ用に色や明るさを調整しつつ、Photoshop形式(PSD形式)の350dpiで各写真を書き出しました。

この辺の形式や解像度は、後述の色校正後にイマイチだったので再度よく調べてみたらわかったものでした。一番最初の入稿データは解像度72dpiのJPGデータを使っていました・・・。

以後、Lightroomで現像 → Photoshopで入稿データ作成 → 色校正 →結果を見て写真やレイアウトを調整、を何度か繰り返していくことになります。


入稿データ作成はPhotoshopで

印刷用に再現像した写真が出来上がったら、次は実際に印刷所に入稿するデータとして作り込んでいきます。

いきなり手の込んだもの、レイアウトは時間の都合上作れなさそうので、参考になるテンプレート(雛形)を利用します。

同人誌や冊子印刷をしてくれる印刷所のサイトでは、各判型のテンプレートを配布してくれていますのでダウンロード、それを元にページを作り込んでいきます。

今回使用したグラフィックのテンプレートダウンロードページでは、作ろうと思っている「無線綴じ冊子」のテンプレートはAdobe Illustrator形式のもののみでした。

Illustratorも使えないことはないですが、時間のない中で使い慣れないツールに振り回されるわけにはいかないと思い、Photoshopをチョイス。しかしグラフィックのサイトには冊子用のPhotoshopテンプレートがありません。入稿自体はPhotoshopデータでも可能とあります。

そこで同じグラフィックが展開している同人誌印刷やグッズ作成のサービス「コミグラ」で配布しているPhotoshop用テンプレートを使わせてもらいました。

コミグラ内の「同人誌印刷」ページ内に「テンプレートをダウンロードする」というリンクがあります。

テンプレートダウンロードページには、各種判型のテンプレートがダウンロードできるようになっています。

この中から「A5 中綴じ冊子(横)」を選んでダウンロード。中綴じ冊子とありますが、無線綴じでも利用できます。表紙の作り方が少し違うだけです。

テンプレートをPhotoshopで開くとこんな感じ。

A5横冊子の見開き用に、あらかじめガイドが引いてあります。それを元に写真や文章、ノンブル(ページ数)をレイアウトしていきます。

配置する写真データがRGBということもあり、この時点で入稿データもRGBで作成しています。本入稿時にCMYKに変換して最終的な色調整を行うつもりでした。

細かいデータ作成の注意点は、グラフィックやコミグラのページに記載されているのでそれを逐一参考にしていました。

今回、本に厚みのある「無線綴じ冊子」なので、表紙と裏表紙のデータに「背」の厚さを追加する必要がありました。そのあたりも、グラフィックのサイトでは解説されています。


色が不安だ色校正!

今回初めての同人誌、それも写真メインの本を作るにあたり一番不安だったのが「色」。

モニターで見るものと紙に印刷するのとではかなり違う色になる、ということは知識では知っていたので、本印刷する前に色校正ができる印刷所を選んだほどです。

グラフィックでは色校正サービスとして、本印刷と同じ印刷機、インク、紙を使う「本機校正」、校正印刷機を使用する簡易校正の「デジタルプルーフ」と「本紙プルーフ」があります。

前述の入稿データ作成で、数ページ出来上がったところでまずは色を見てみないと、ということでこの色校正サービスを利用することにしました。

本機校正はもちろんかなり高いので、まずは一番安くてお手軽な「本紙プルーフ」をお願いしました。

実際に本印刷で使用する紙を指定して、A5横見開きのデータをA3の紙に2つ配置、レーザープリンターで印刷し、色校正として送ってくれます。

Gマットコート紙とマットコート紙の二種類で、1枚ずつ色校正をしてみたところ、想定していたよりもずっと写真が暗いし、色もあまり抜けがよくない。特に青がべったりしていると感じました。

こりゃまずい、と思い、再度Lightroomの行程に戻り、写真の明るさや色を調整。

その後、本機校正やデジタルプルーフを試してみたのですが、グラフィックからは「色校正の入稿データの体裁が間違っている」と何度も連絡をいただいてしまいました。お手数おかけしました・・・。結局、最初に頼んだ「本紙プルーフ」とは違い、実際の印刷サイズで最低ロット(同じデータで刷られる紙の枚数)単位での出力となることなどもあり、コストが思った以上にかかるので断念。

結局、本機校正やデジタルプルーフはキャンセルし、再度「本紙プルーフ」でもう少し多めのページを色校正。色も明るさもこれなら、と自分でOKを出して、本番の入稿することにしました。


入稿データはEPSに変換

今までRGBのPhotoshopデータとして入稿データを作成してきましたが、実際に印刷する際は、CMYKデータに変換し、すべてのレイヤーを統合、さらにEPSファイルとして保存してから入稿します。

もちろん、元のPhotoshopデータは保持し、複製したデータでEPSファイルを作ります。

グラフィックのサイトの「無線綴じ冊子印刷」のページから、冊子の仕様を選択していきます。

表紙は本文と異なる少し厚めの紙で印刷するので、まずは表紙について決定。フルカラーでオプションや加工はなし。納期と印刷する部数を選んでカートに入れると、表紙のみの費用がまず加算されます。

次に、本文用の紙やページ数、フルカラーかモノクロか、などを選んでいきます。

すべて終わったら、注文完了となります。次にデータの入稿も行います。先ほど注文した冊子印刷の注文番号をフォルダ名として、入稿ファイルをその中に入れて圧縮ファイルを作成、サイトの記載に従ってアップロードします。

アップロード後、グラフィックから入稿データのチェック工程などのメールが送られてきて、問題なければ印刷工程に入ります。注文時に納期は2〜8日で選べますが、短納期なほど印刷費は高くなります。詳しくはグラフィックのサイトを確認してください。

これで入稿完了です! 写真を選んでデータ作成、納品まで1ヶ月ほどかかりました。


8日ほどで手元に届く

印刷工程に進行してから、8日で初めての同人誌が手元に届きました。感無量ですね。色校正をしたとはいえ、本機印刷でどうなるか心配だったので、思っていたのと変わらないものが出来上がってきた時は感動しました。

ちなみに、今回は色校正が細かくできるのでグラフィックの冊子印刷を利用しましたが、グラフィックの同人誌印刷「コミグラ」や、他社の同人誌印刷を利用すると、同人誌即売会の会場に直接搬送してくれるサービスがだいたいあります。

いつもデジタルの写真やブログを綴っていますが、こうやって手で触れる本が形になるととても感慨深いです。今回で同人誌を作成する流れは把握できたので、これからも時間を作って色々なものを形にしていければと思います。

あ、ちなみに2018年2月11日開催の「コミティア123」にも参加することになりました! 新刊を出すかはまだ未定ですが、「ISLANDSCAPE」は持っていきますので、お時間ある方はぜひビッグサイトまでお越しください! 遠方で来られない方は、通販対応もしています。

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