ISLAND TRIP(アイランドトリップ)

「天売島・焼尻島」旅 その11(焼尻島) 島で唯一の喫茶店「カフェ アトリエ おくむら」でマダムの話を聞く

島に移住する理由は様々。それを聞くのは楽しいものです。どうも、いづやん(@izuyan)です。

天売島・焼尻島旅の第十一回をお送りします。牧草地の眺めに開放感を感じ、めん羊牧場で羊たちの姿に頬を緩めたあとは、港まで戻ります。


民家と見分けがつかない島唯一のカフェ

この日、「焼尻島に行きます」とツイートしたら、札幌在住のフォロワーさんに「素敵なカフェがあって、奥さんの話も楽しいのでぜひ!」とリプライをもらっていたのを思い出しました。

手元にある「手描きマップ」にはもちろん場所なんて載ってません。集落の端まで戻ってからiPhoneで検索してみると、確かにカフェの情報がネットに載っています。

路地をいくつか曲がり、一度は気が付かず通り過ぎたカフェは、一見すると普通の民家でした。

ドアの脇に申し訳程度にカフェを示す看板がかかっていますが、知らないと絶対に気が付きません。

おそるおそるドアを開けても、やはり普通の人様の家、という印象の空間が広がっていました。完全に誰かのリビング兼書斎。

でも落ち着かなかったのは最初の5分ほど。出迎えてくれた女性店主の落ち着いた声と話しに、気がつけばすっかりくつろいでいました。

棚を埋める本、掛けられた絵、北海道の離島には似つかわしくないマダム、といった容貌の女性店主の好みの世界が詰め込まれた空間でした。

「氷が一人前しか残ってなかったからちょうどよかったわ」と注文したアイスコーヒーを出しながら笑顔で言われました。ちゃんと淹れているコーヒーです。正直期待してなかっただけに驚きました。

「自分の趣味で作ってたブレンドを出してるんだけど、みんな美味しいって言ってくれるからうれしくて」

メニューを眺めると、カレーやパスタなどの軽食もありました。

どこでここを知ったのかと聞かれて、前にこのお店に来たことのあるTwitterのフォロワーさんに教えてもらったと言うと、

「うちは取材は断ってるの。だからなんでこのお店に来たのか気になったのよ」とのこと。ちなみにブログに書くくらいならOK、と言われました。


東京、横浜、札幌で働き、焼尻島に移住

実はこの時、船の出港時間まで30分ほどだったのですが、マダムからお聞きした話はどれも面白かった。

元々は神奈川在住で、僕も知っている大きなクライアントを相手にグラフィックデザインやイラスト、建築デザインのお仕事をされていて、10年前に焼尻島に移住してきたそう。

「島の不便さが逆に魅力。あとここの森を歩いた時にすごく気に入って。移住して10年経つけど、今でもよく森の中を歩くのよ」

旅した島では色んな人に会ってきましたが、このマダムは今までにないタイプの方でした。

「島の人たちとはよく話をするし、お店にも来てくれるけど、一線は引いてる。どこのコミュニティにも属さないとはっきり言ってる」と、言い放つ人を僕は初めて見ました。面白すぎます。島でそれが可能なのかと。

島の色んな人が来て色んな話をしていくけど、誰の肩も持たないようにしてる、自分の立ち位置を守っているの、とも。もちろん島なので生活に必要な協力は必要でしょう。でもたとえば他人のウワサとか、利害の一致しないグループ同士の軋轢なども日常茶飯事。それには与しないと言ってのけるのです。

テレビもパソコンもない。本を読めればいい、今はアマゾンで頼めば5日くらいで届くからそれで事足りる。

「離島に便利さを求めちゃだめ。便利がいいなら都会に住んだほうがいい」と笑いながら言うのが印象的でした。敢えて不便さを求めて島に暮らす人も色々見てきましたが、マダムはそのあたり徹底していそうでした。

もっとお話しを聞いていたかったのですが、船の時間があと15分後に迫っています。お礼を言ってお店を後にします。今度はもっと時間を作ってこよう、と心に誓って。(続きます)

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