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「五島列島」旅 その33(小値賀島) 最後のコーヒーをいただき、歴史民俗資料館を見て回り、小値賀島を後にする

何度も書いていますが、旅の終わりはどうにも切ないものです。どうも、いづやん(@izuyan)です。

五島列島旅の第三十三回をお送りしますね。今回で最終回です。とうとう、旅は最終日の八日目を迎えました。今日は一日かけて帰ります。


旅の最後の朝も、喫茶タートルで

旅最終日は朝から少し雨模様。

朝食を終えて部屋で荷造りをしていると、

「◯◯さーん、コーヒー飲みに来ませんか」とトムさんが声をかけてくださいました。

いそいそと喫茶タートルに顔を出すと、カウンターに包装されたお手製のコースターが載っていました。ポットとコーヒーが注がれたカップ、それに「tom」と描かれています。これもトムさんが描いたものでしょう。

「よかったらどうぞ」

ちょっとだけ泣きそうになります。こういうの、うれしいじゃないですか。お礼を言って受け取ります。

コーヒーを飲みながらまたお話をお聞きします。

トムさんが作詞した小値賀島の歌「ここは碧い国」に、地元の人が曲を付けてくれたのを聞かせてもらいます。本当に色々手がけていて驚かされます。曲自体はおそらく「VOCALOID」で作ったもので、まさか小値賀島でボカロの声を聞くことになるとは、と思ったのはここだけの話。

店内をもう一度ぐるっと見回します。本、器、雑貨、ポスターが、所狭しと飾られています。一見雑然としていますが、不思議と居心地がいい。

ふと、壁に飾ってあったポストカードが目に止まります。トムさんの描いた小値賀島と野崎島の風景の水彩画。思わず買わせてもらいました。

「あんたが撮った写真を見るのが楽しみだ」

とトムさんが言ってくれます。半年後に、世界で一冊だけの写真集として送りました。喜んでくれているといいのですが。


小値賀町歴史民俗資料館

船に乗るまでまだ時間があったので、もう一度「小値賀町歴史民俗資料館」へ足を運びます。

流して見るだけだった野崎島の資料や小田家所蔵のものを見て回ります。この資料館は、小田家の屋敷を利用して解説されていますが、その屋敷部分が思ったより広くて驚きました。当時を思わせる調度や道具類も残っていて、館内を歩くだけでも興味をそそられます。

歴史民俗資料館として使われている旧小田邸は、文化財としても指定されています。

小田邸に併設される形の資料館を見て回ります。小値賀島の歴史資料や、野崎島の資料が展示されています。

島の地形や地質などを記載した模型。

野崎島の模型もありました。

奥には、野崎島と旧野首教会、キリシタン文化の資料が展示されています。野崎島に渡った後に見ると凄さがわかるものばかりでした。

トムさんのご先祖様が住んでいた野崎島の南、舟森郷の「瀬戸脇教会」の在りし日の写真まであります。

旧野首教会や瀬戸脇教会に伝わっていたクロスやマリア像。

集団離村前の野首集落の様子も展示されていました。段々畑に家屋が点在しているのがわかりますね。

旧野首教会の往時には、建物の後ろには木造の司祭館、そばには集会所があったようですね。

旧野首教会に使われていたステンドグラス。現在の教会にはめられているものは多くが復元されたものだそうです。

沖ノ神島神社の古い銘板が掲げられていました。

沖ノ神島神社に収められていた宝物の一部。大陸由来のものが多く、交通の要衝としての役割があったと伺えます。

姫の松原で見かけた「碇石」の構造と模型がありました。なるほど、木の碇に括りつけられていて、海に沈んだ後は木の部分が腐り落ちて石だけが残った、ということなんですね。

貴重で重要な展示物が多く、小値賀島、野崎島を回ってからくるとより一層引き込まれるものが多かったですね。学芸員の方も質問するとしっかり答えてくださって助かりました。


かつての生活を垣間見られる旧小田邸

歴史民俗資料館の半分は、捕鯨で財を成した小田家の旧邸宅をそのまま利用しています。

小田家歴代当主の像の写真が並んでいました。

当時の調度も多く展示されています。

邸宅の中を歩くことができます。見事な庭も一緒に見ることができます。時間があったら縁側で座ってのんびりしたかったです。

捕鯨が盛んなころの名残でしょうか。クジラの骨がそのままになっていました。

捕鯨で使われた道具なども展示されていました。

鯨供養の位牌なんてのもあります。鯨とともに生活していたころは、「鯨に生かされている」という思いが強かったことでしょう。位牌はその気持の表れでしょう。

ふと視線を上げると、天井には槍や刺股が掛けられていました。鎧まで展示されていました。

部屋ごとにちょっとずつ時代が違うような展示がされていたようで、奥に進むたびに違うものが置いてあり、そこも面白かったです。


最後の時間まで小値賀島を見ていたい

歴史民俗資料館を出て一度喫茶タートルに戻ると、トムさんの話しによく出てきてた常連三人組のおじさんがたがいました。

隣のテーブルに座ってなんとなく話しに混ざります。テンポよく冗談交じりの会話が面白いですね。同級生なんでしょうか。

トムさんも島の人と話す時は小値賀の言葉なんだなあと今さらながらに思いました。

名残惜しすぎましたが、お昼前にお別れを言って、荷物を担ぎ港に向かいます。

連休が終わったからでしょう、船が来るというのにターミナルは閑散としていました。野母商船の窓口で博多港行きのチケットを買い、お土産を物色します。

ピーナッツ(落花生)を使ったお土産が目を引きます。小値賀島のすぐ北隣にある納島の落花生だそう。今回の旅で小値賀島の回りには、六島、納島、大島、と言った有人島があると知りました。次は必ず行こうと思います。

落花生ソーメンやピーナツバター、落花生クッキーを買いました。

お土産屋の奥はカウンターになっていて、セルフのコーヒーを飲めるようになっていました。コーヒーと「おぢか落花生アイス」をいただきます。しっかり落花生の味がして結構美味しかったです。

カウンターには他に、旅行中で中通島の有川から日帰りで来た老夫婦がいました。野崎島のヌカカの話しで盛り上がります。

「おぢかアイランドツーリズム」のスタッフの人に声をかけられます。顔、覚えられていたんですね(笑)  小値賀島と野崎島で見たことを少しお話します。


フェリー太古で小値賀島、五島列島を後に

しばらくすると、フェリー太古が入港してきます。

13時過ぎに出港。帰りの太古も大分空いていて、窓際のスペースを優々と陣取れました。出航してしばらく、宇久島につくまではデッキにいました。名残惜しくて仕方ないです。

三階の窓際のスペースにソファが並んでいて、人がいなくて静かだし、テーブルもあるし、海を見ながらぼーっとするには最高でした。今回の旅を頭で反芻したり、時折目の前を過ぎる島のことを調べたりしながら時間を過ごします。船でぼんやり過ごす、これぞ正しい島旅の締めです。

18時前に博多港に到着。そのままタクシーで祇園駅へ行き、地下鉄に乗って4駅先の福岡空港まで。飛行機に乗り、無事8日間の旅を終えて帰ってきました。

自分にとっては、8日間という五島列島の旅は、小笠原で2週間過ごした時を除いては一番長く、様々な島を渡り歩く「アイランドホッピングの旅」としても初めての長さでした。どの島も違っていて、どの島でも驚きがあり、色んな人と出会い、親切にしてもらいました。

旅のレポートが長くなったのも、どれも外せないエピソードばかりだったからです。自分の島旅遍歴にとって、五島の島々が大切な体験になったことは確かでした。これから先、まだ訪れていない五島の小さな島にも渡りに行きたいものです。(五島列島旅・了)

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