ISLAND TRIP(アイランドトリップ)

「五島列島」旅 その31(小値賀島) 海を望むゴルフ場、数千年を経たポットホール、真っ赤な田んぼ

梅雨は梅雨で必要なものですが、早く明けて島の空の下に向かいたいものです。どうも、いづやん(@izuyan)です。

五島列島旅の第三十一回をお送りします。行けるところまで行きます。それくらい濃い旅でしたから。トムさんの案内で小値賀島を巡ります。


ふたつの島をひとつに、建武新田

海を横目に見ながら移動します。

「最近はイノシシ、シカが増えて野崎島からしょっちゅう渡ってきて畑を荒らすから、困るんだよ」

海の上を泳いでいる姿も目撃されているそうです。野崎島くらいの近さならおそらくイノシシにとっては大した距離ではないのでしょう。

かつて小値賀島は海峡によって隔てられたふたつの島だったそうです。それを埋める大事業が行われ、完成した建武元年(1334年)にちなんで「建武新田」と呼ばれています。島の東側を南北に貫く道の左右に広がっている細長い田んぼがそれに当たります。笛吹郷にある「牛の塔」はこの工事で命を落とした牛を供養するためのもの。

「建武新田の途中に『牛渡』という地面があるんだけど、島がまだ二つだった頃に、それを牛が泳いで渡っていたことにちなんでるんだよ」古い地名にはちゃんと理由がある、ということですね。

建武新田を抜ける道路はやがて「姫の松原」という、松の並木が続く風景に変わります。「日本の名松百選」にも選ばれています。途中に志々伎神社があります。境内に入る手前の草地に先ほど前方湾で説明された「碇石」が無造作に置かれていました。

「確かに大きい・・・」

思わず口に出てしまいます。これをウインチがない時代に海から人の手だけで引き上げるのは難しいでしょう。ところでなんでここに置かれてるんでしょうか。何かの調査で引き上げたものをそのままにしたものでしょうか。トムさんに聞きそびれました。


島にある見晴らしよしのゴルフ場

「小値賀島にはなぜかゴルフ場がある」というのを知り合いから聞いて以前から知っていました。

トムさんの運転する車はそのゴルフ場の入り口を抜け、コースにぐいぐいと入っていきます。いいんでしょうか。プレイしてる人も二人ほど見えますが。

さすがにコースのど真ん中を通ったりはせず、コースの端、林の境目を走って奥に向かいます。コースのすぐ向こうは海が広がっています。プレイするには実に気持ちのいいコースでしょう。

ここは、元は放牧場。それを島の有志が少しずつ整備して5ホールの小さいながらも素敵なゴルフ場としました。島外の人でも3500円払えばプレイが可能です。ただし、島のゴルフ同好会「はまゆう会」のメンバーと一緒にプレイすることが条件だそうです。

コースの入口から入って右方向にずっと行き、しらばくすると停まります。

ここからは五両ダキが見えます。小値賀の言葉で「ダキ」とは「崖」。火山由来の小値賀島で、昔火口の名残だとか。確かに赤い崖面は溶岩由来の酸化鉄をたくさん含んだものでしょう。


小値賀島のお隣、斑島へ

小値賀島の周りには、さらに小さな島があり、人の住んでいるものもあります。船でないと行けないものは、大島、六島、納島、野崎島。橋がかけられているものは、斑島、黒島。

斑島(まだらじま)は、小値賀島の北西に位置し、橋で簡単に渡ることができます。漁師町でしょうか、密集した家屋が並んでいて、写真を撮るにはよさげな雰囲気が漂っています。

島の北には「斑島玉石甌穴(ポットホール)」なるものがあります。波に洗われた岩が数千年かかって海岸に穴をうがち、丸くなっていったもの。上からのぞくと綺麗な玉状の石が見えます。岩が転がってここまで深く穴を開けるのにどれだけの年月がかかったのかと思うと気が遠くなりそうです。

「冬の海が荒れた時には、遠くにいても石が中で転がる『ゴロゴロ』って音が聞こえるんだよ」とはトムさんの言葉。この甌穴、国内では最大の大きさ、世界的に見ても第二位とも言われています。

「小値賀島でいちばん赤い田んぼを見せよう」と言って車を斑島の西側に走らせます。

車を降りてみると確かに赤い。目の色調補正がおかしくなったのかと思う赤さ。田んぼの赤、草地の緑、その向こうの青い海、コントラストが素晴らしかったです。


「ただ、ここで育てても赤いコメはできないんだよなー(笑)」とトムさん。

斑島からまた橋を渡り小値賀島に戻ります。橋を渡る時に部活でランニング中の中学生から「こんにちは!」と声をかけられました。どうも、昔先生をしていたトムさんへの挨拶のよう。


黒島、大島、宇々島の話

笛吹郷まで戻っておしまいかと思いきや、もうひとつ小さな橋を渡ります。ここも斑島と同じく小値賀島のすぐ隣にある離島、黒島。

ここの黒島園地には展望台があり、笛吹の集落を一望できます。

「看板がないからちょっとだけ来ても普通は見つけられないんだよ」と話しながら細い農道を抜けます。確かにこの先に園地があるとは気がつかないでしょう。

道すがら、小値賀島のそばにある「大島」の話しになりました。貧しくて生活できない家を隣の無人島「宇々島(ううじま)」に引っ越しさせ、数年間そこで取れるものは独り占めして(税の免除)売っていいとして経済的に自立できるようになったら大島に戻るという、互助システムが戦前まで残っていたそうです。

小値賀島に来てから初めて知る二次離島たち。小さいと言っても色んな物語があることを、トムさんの話を通じて思い知りました。次に来るときはそれらの島にも渡りたいものです。(続きます)

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